トニー・バンクスが語る、ジェネシスの最もヘンなところ、賛否両論あるところ【記事紹介】
先日書いたジェネシスの5枚組CDBOX、BBC Broadcastsリリースに際して、単独インタビューに応じたトニー・バンクスの記事が面白かったのでご紹介。まあ、これをおもしろいと思えるのは、相当なジェネシスマニアだけではないかとは思いますが(笑)
筆者はDevon Ivieという女性記者の方です。
以下、要約してみました。間に挟まっているのは、当然わたしの個人的感想です(^^)
BBC Broadcastsについて
この作品から将来のプロジェクトが生まれるとは思わないでほしい。もう何も残っていないと思うんだ。もう井戸は枯れているよ。
フィルの容態が悪いから、もうツアーはできない。僕らが最後のショーを行ったとき、最新の音楽はもう30年ほど前に書かれたものだったしね。
それが僕らの時代で、今僕がやることはジェネシスから独立したものになる傾向があるよ。
インタビューアーは、この記事の取材でトニー・バンクスと1時間話したそうです。一般的に「真面目な人」と思われてる人が「実はかなりおもしろい人」であり、インタビューは笑いが絶えなかったと書いてます。まあ、マニアの間ではなかなかイケズな人で通ってた人ではあるのですが、やっぱり年とって丸くなったんですかね(笑)
以下、ジェネシスの曲についてトニー・バンクスが語ります。
最も「リスタート」となった曲
ABACAB
自分にとってバンドは常に続いていたものだった。時代が変わっても、シンガーが変わっても、ラインナップが変わっても、僕にはあまり違いがなかった。
でも、ABACABでは、これまでの10年、15年やってきたことから少し離れて、長い曲や、その他諸々を合理化しようと意識的に決断したんだ。
そのため、僕の好きなアルバムのひとつではないよ。でも、フィルが有名になったあのサウンドで初めてドラムを叩いたのは、興味深いことだった。
タイトル曲ABACABは、僕らが最初にスタートした頃の時代に戻ったような曲だった。それまでよりずっとロック的な曲だった。
このアルバムで一番好きな曲は Me and Sarah Jane だ。面白い変化がたくさんあって、ずっと同じアイデアにこだわらない。そういう曲が好きで、一番楽しいんだ。
一番変な曲
Who Dunnit?
ライブではほとんどの観客に嫌われたね。でも、僕らはむしろそれを楽しんでいたよ。論争を巻き起こすことは分かっていたんだ。
僕がProphet-5を、このバッキング・サウンドを作るために使い倒したんだ。あまりに頻繁に演奏するので、マイクとフィルが何かしなければと思ったんだろう。フィルも一緒になって、馬鹿げた歌詞を書いたんだ。
僕はこの曲をとても気に入っていて、今でも好きだけど、この曲はジェネシスのコンセプトとは必ずしも一致しないため、物議を醸したね。
また、この曲のために他の曲を外したので、嫌がる人もいた。You Might Recallという曲が結局「Abacab」には収録されず、代わりにこっちが収録されたからね。
この曲、Three Sides Live の映像作品にも収録されていまして、それを見るとフィル・コリンズがスキーゴーグルしていたり、珍しくマイク・ラザフォードがドラムたたいていたりしますし、ときどきトニー・バンクスは、水中メガネにシュノーケルつけて演奏したとか、まあふざけてたわけなんですね(フィル・コリンズは、パンクをおちょくった曲だと言ってましたが…)。ただやっぱりウケなかったという自覚はあったわけですねw You Might Recall の方は、まさにジェネシスらしい曲で、Who Dunnit? とどちらをアルバムに収録するかではかなり揉めたみたいですが、これを押し切ったのがトニー・バンクスだと言われています(笑)ちなみに Prophet-5 というのは、当時最先端のポリフォニックシンセの名機ですが、この頃はまだ不安定で、彼らはこれををツアーで使うために、ツアーに帯同する専用のメカニックを雇ったのだそうです。
もっと長くても良かったと思うソロ
Supper's Ready
ソロが延々と続くことについて何度も批判されたことがあるよ。
僕のソロについて、ガブリエルは「先史時代から始まり、未来へと素早く移動していく」とコメントしたことがある。
僕のソロは常に楽器によるパッセージだ。ヴォーカルのないヴォーカルみたいなもので、ある一定の時間を構築しようとするんだ。
最初にやった最も重要なソロのひとつは、 Foxtrot の Supper's Ready の Apocalypse in 9/8 だね。
初期のジェネシスのカタログの中で、最も強い瞬間の1つが生まれたと思う。
Stagnation
ソロは、少しづつ切り詰めるようにすることが多かったけど、必要とされると感じる限り続けたよ。
時には、他のメンバーが許してくれる限り、長く続けることもある。アルバムTresspass 以前は、ソロを一度もやっていないんだ。それまでは気が進まなかったんだ。
マイクが2つのコードを弾き始めて、その上に乗せるものがあることに気づいたんだ。それがきっかけで扉が開かれたんだ。
その頃は仕事をするのが楽しくて仕方がなかったんだよ。ステージで即興演奏をすることはなかったけど、ソロを完成させるために、スタジオでたくさん即興演奏をした。
そのような即興からパートを作り出し、それを魅力的な形でまとめようとしたんだよ。僕はジャズの専門家じゃないので、ミストーンを気にせず演奏することができないんだ。
Firth Of Fifth
自分では名手だとは思ってないけど Firth of Fifth のイントロは好きだ。
YouTubeにはたくさんのバージョンがアップされていて、多くの人が僕よりも上手に演奏しているね。
この曲は、アルバム Foxtrot でボツにしたアイデアを発展させたもので、自分でも面白いと思う展開の仕方を見つけたんだ。
譜面の記号をあまり気にしない人間なので、自分の手がやりたいと思ったことをそのままやるんだ。これは、初期の頃からずっと大切にしてきたことだ。
キーボーディストのためのオタクソング
Robbery, Assault and Battery は、今までやった中で一番複雑なソロだった。フィルが考えたドラム・リフをベースに書かれたものでチャレンジングだった。
その上である程度演奏して、どうなるかを見て、13/8に分解することを考えたんだ。楽しかったけど、テクニカルで、もう二度と弾きたくない。
The Lamb Lies Down On Broadway の Riding the Scree とも似ていて、とても難しい曲でね、ベストな曲とは言えないね。
新しいシンセサイザーを手に入れると、いくつかの音がついていて、その音が曲のアイデアを示唆してくれることもあるんだ。例えば、Tonight, Tonight, Tonight。当時、Akaiのサンプラーを買ったばかりで、マリンバの音がプリインストールされていて、それをエコーボックスにかけると、とても素晴らしい音になったんだ。それで一通り演奏して、その周りに曲を作ったんだ。
トニー・バンクスだけでなく、ジェネシスの人は、新しい楽器の音にインスパイアされて曲を作るというエピソードが結構あるように思います。有名なところでは、ゲートリバーブのドラムサウンドにインスパイアされたピーター・ガブリエルが作ったIntruderや、ローランドのリズムマシンCR-78にインスパイアされた In The Air Tonightにはじまる一連のフィル・コリンズのソロ作とか。トニー・バンクスもその傾向が強かったみたいですね。Watcher Of The Skiesのイントロは、チューニングが甘いメロトロンで、チューニングが狂ってもあまり変に聞こえないコードを探していて見つけたコードシーケンスだったと聞いたことがあります。また彼は一時期シンクラヴィア(Synclavier)というものすごい高価なサンプリングシンセを使っていましたが、これもほとんどプリセット音をベースに使っていたらしく、Mamaのあのちょっと気味悪い音とかはこのシンセのものですね。
もっと評価されて良い曲
Duchess
全部の曲がもっと評価されて良いけど、フィルと僕がジェネシスの曲の中で一番好きだといつも評価しているのは、 Duke の Duchess だね。
女性ロックスターの栄枯盛衰というシンプルな歌詞が好きで、リズムマシンとドラムボックスを初めて使った曲でもあるんだ。すごい雰囲気のある曲だと思う。一時はシングルとしてリリースしたんだけど、あまり売れなかったんだ。. だから、この曲はとても過小評価されていると思う。
ジェネシスの曲の中でラジオで最も多く流れるのは12曲くらいしかないから、そういう曲はたくさんあるよ。
1曲か2曲は良いポップソングを書いたことがあるけれど、僕たちの本当の強みは、もう少し冒険的な音楽にあるんだよ。
Turn It On Again
これは、変拍子で予想外の変化があり、面白い曲だと思う。ドラムが容赦なく鳴り響くので、一見シンプルに聞こえるけどね。
この曲は、マイクと僕が書いたものを組み合わせたものだよ。Duke のリンクセクションになると思ってくっつけたんだけど、あまりに強力だったので独立した曲にしたんだ。
僕らは一度 Follow You Follow Meでシングルの世界に足を踏み入れたので、Turn It On Again や Mama のようなものでも世間に受け入れられたのだと思う。
こういう曲がラジオで何年間も放送されるようになったのは、作品全体の広告のようなもので、とてもよかったと思うよ。
コンサートに来てくれた人たちは、雰囲気を作る時間がある分、長くて野心的な曲のほうをよく聴いてくれたね。
ちなみにこの曲は、1982年、ピーター・ガブリエルが復帰して一夜だけ行われた再結成コンサート Six Of The Best のときに、ガブリエルがドラムを叩いて演奏した曲。このとき、ピーターは簡単だと思ってやりはじめて途中で「一体どうなっているんだ?」という状態になったのだとか。簡単に聞こえても、かなり複雑なものなんだという話のときに必ず出てくる曲ですね。このときのコンサートはWOMADという音楽イベントを主催したピーター・ガブリエルが、イベントの失敗で多額の負債を抱えたために、ジェネシスのメンバーが一肌脱いで一夜限りの再結成コンサートがピーターへのチャリティとして行われたものなんですね。公式な音源は一切残っておらず、Six Of The Best というタイトルのブートが存在します。まあ公式には残せないかなりグダグダな演奏ではありましたが、このコンサートを見られた人は幸せな時間だったと思います。
あなたが過小評価されている曲
僕は多くのものを書いたとクレジットされている。でも後期のアルバムと初期のアルバムではクレジットをつけていなかった。
初期の頃は、誰もがピーターの曲だと思っていたし、80年代に入る頃には、どれもフィルの曲だと思われていた。
これは嫌だった。作曲はみんなに任されていたんだ。
マイクは、僕の中のシンプルなものを引き出すのが上手かった。僕が遊んでいると、「これはいい、使おう」と言うこともあった。そしてマイクと僕は Turn It on Again と Follow You Follow Me を書いた。
僕は Home By The Sea や Domino のような複雑な曲で知られているけど、 Land Of Confusion や Invisible Touch のように、僕の書いた要素がかなり大きく入っているシンプルな曲もあるんだ。
ジェネシスの曲で、僕がかかわっていない曲はない。ジェネシスが嫌いな人は、僕が嫌いだってことだよ。
僕はいつも変わったコードを求めていて、それが僕の欠点でもあった。ソロ・プロジェクトでは間違いなくそうだ。
しかし、それが僕を興奮させるんだ。Watcher of the Skies のオープニングを聴くと、あの奇妙なコードがあり、信じられないほど強い雰囲気を持っている。他の誰とも似ていない。それが好きなんだよ。
他の誰ともかぶらないというのはいいことだよ。他のグループと混同されることが多いのなら、それは価値がなかったということだと思う。
最も揉めたアルバム
The Cinema Show
バンド内ではいつもバトルしてた。僕は議論に強かったので、自分のものをたくさん入れたね。ジェネシスが好きなら、それはとても良いことだったろ?
スティーブは、自分の考えがあまり考慮されていないと感じることがあったようだけどね。
ピーターとはよく喧嘩をした。彼も僕も断片的に妥協してそれらをくっつけてどうなるかを確認したものだ。すべてのアイデアを出し合い、何を採用するかは普通に合意してた。
収録曲について意見が対立したのは Selling England by the Pound だけだね。僕はピーターに「 After the Ordeal は入れたくない」と言った。僕はあの曲には満足していなかったんだ。
一方ピーターは The Cinema Show の後半は、僕らががやるような曲ではないと言って、収録したくないと言ったんだ。
僕は、「いや、あれは本当にいいし、面白いし、今までと違うから、ぜひ入れてほしい」と言ったね。
結局、両方入れることになったのは、あの特殊な議論を解決するには、それしか方法がなかったからなんだ。
でも僕は正しかったと思うよ。 The Cinema Show は絶対に必要で、After the Ordeal は必要なかった。
負けてよかったと思う議論をひとつ紹介しよう。Supper's Ready では、 Apocalypse 9/8 というキーボード・ソロがあったけど、僕は意図的に前半と後半にコード・シーケンスを配置していたんだ。
ところが、ピーターが歌詞を書いて、そこで何かやりたいと思ったんだね。彼は最初のシークエンスに歌を乗せたんだけど、僕は「まじか?」と思った。
これには怒ったよ。でも最終的に「いや、これはむしろいいことなんだ」と気づいたんだ。結局、素晴らしいサウンドになった。そしたらピーターは最後の和音部分でまた同じことをしたんだ。またかよと思ったけどね。
彼は The Musical Box の最後でも同じことをしたんだ。でも、あれはとても効果的だった。彼がやることは、いつもOKなのさ。でも、それにイライラさせられるんだけどね。
On The Shortline
We Can't Danceでの On the Shoreline は好きだったけど、マイクに反対されたよ。マイクの息子は気に入ってくれたのにね。
フィルも嫌がった結果、 Way of the World と Since I Lost You というかなり弱い曲が入ってしまった。
On The Shortline は本当に強い曲で、ヒットになったかもしれないと思うんだけどね。
最も賛否両論のあるアルバム
発売当時の The Lamb Lies Down On Broadway は、非常に複雑な反応だったね。あまり売れなかったし、大きな反響もなかった。
その後、この作品は古典のようなものとされているけど、僕や周囲の見解では、この作品は複雑なものだった。
素晴らしい瞬間がいくつもあるけど、最後のほうはちょっと物足りなかったかもしれないね。レコードが進むにつれて少しずつ弱くなり、最終面は期待されたようなクライマックスにはならなかったんだ。
Supper's Ready の時は25分の曲で、Foxtrotのアルバムの素晴らしいクライマックスに盛り上がったんだけど、Lamb はそうはいかなかった。
アルバムごとにいろいろ言うファンがいるよ。でも僕はすべてのレコードに満足しているよ。
他の作品と同じように考えられていないもの、例えば From Genesis to Revelation や Calling All Stations でも、どれもメリットがある。他の作品ほど高く評価されないのは理解できるけど、僕はどの作品も嫌いではない。
僕はいつでも昔の曲を聴き返して、そこから多くの喜びを得ることができるよ。
僕が書いた The Day The Light Went Out は、SFをテーマにしたはずなんだ。全然うまくいかなかったんだけどね。
スティーブが最初に書いたときは十分いい作品だったけど、 After the Ordeal も好きになれなかった。似非クラシカルなピアノを乗せちゃって、それが気に入らなかったんだ。でも、嫌いな曲でも、普段は気にせず聴いているんだ。それを僕らが書いた頃に戻れるからね。
あ、やっぱり。トニー・バンクスが Selling England のアルバムに入れたくなかった After The Ordeal って曲は、元はスティーブ・ハケットの曲だったのですね。あとで「自分の似非クラシカルピアノが気に入ってなかった」とかフォローしてますが、これぞ俺たちのトニー・バンクス(笑) スティーブ・ハケットが脱退した際には、トニー・バンクスとの確執とかなり言われたのですが、彼は純粋に音楽的な観点で、絶対譲らないし、ダメなものはダメみたいになるので、それがスティーブ・ハケットには耐えられなかったのでしょうね。
バンドで一番誇れる年
2年分あるね。最初は1972年で、ロンドンのレインボー・シアターという会場で初めて演奏した時だね。その時、UVライトを使って初めて本格的な視覚効果を行ったんだ。 Supper's Ready を初めてステージでやったのもこのときだ。ただ音楽を演奏しているだけでなく、何か価値あることができるようになったのだと感じたね。
もうひとつは、1986年から1987年にかけての「インビジブル・タッチ・ツアー」のときだよ。8万人入るウェンブリー・スタジアムで4晩演奏したよ。
4日間とも晴天に恵まれ、観客も素晴らしかった。インビジブル・タッチ』は発売から1年ほど経っていたけど、まだトップ10にランクインしていたんだ。
僕はパフォーマーというわけではないよ。ただ、そこにいるだけなんだ。でも、毎晩毎晩、あの人たちを眺めながら、その瞬間は何かとても強いものを感じたよ。僕らはとても熱く、その時代を生きるのはとても楽しかったけど、もう二度とあのようなことはないだろうね。
2007年の再結成ツアーでは、サーカス・マキシマスで演奏した。無料のコンサートで、約50万人の観客を前にして演奏したんだ。
ローマで演奏することの大きな利点は、彼らが細かいことをあまり気にしないこと、そして好きなだけ遅くまで演奏できることだね。暗くなった頃にステージに上がることができたんだ。他のヨーロッパの都市では、明るいうちにステージに上がることを強いられるので、ライトショーの効果が十分に発揮されるのは最後の2、3曲になってからになるけど、ローマでは終始真っ暗だったよ。
1987年に行われたInvisible Touchツアーでのイギリス公演は、ライブエイドも行われたウェンブリースタジアムを4日連続でソールドアウトしたという、その時点で、過去誰もなしえなかったギネス掲載の公演だったのです。8万人のスタジアムを4日連続なら合計32万人の動員のはずですが、このとき売れたチケットの総数は29万枚弱だったそうです。この公演の映像作品がこれですね。
あなたがジェネシスにあったらと思うフィル・コリンズの曲
In The Air Tonight だけど、これについてはいつも論争がある。
フィルは、デュークのために曲を選んでいるときに、この曲を聴かせたと言ってるけど、それは事実ではない。
In The Air Tonight はとてもいい雰囲気があると思うんだ。でも、もしジェネシスがやっていたら、台無しにしていたかもしれないね。きっと、別のコードを追加したり、何か手を加えて別の場所に持っていこうとしただろうね。
この曲には非常に簡略化された形で、ジェネシスがよくやっていた、強くてムーディーな雰囲気というもののエッセンスが含まれているね。彼の曲の中で一番好きだ。史上最高のドラム・リフを持つ、素晴らしい音楽だよ。
この、「論争」とは、アルバム Duke の制作時に、フィル・コリンズが披露した自作デモ曲の中に In The Air Tonight が入っていたか、いなかったかという論争なんですね。トニー・バンクスとマイク・ラザフォードは、「聞いた覚えがない」派で、その根拠は「もしそのとき聞いてれば、絶対に採用したはずだ」と言っているのですね。ところが、フィル・コリンズは「1曲だけ隠したなんてことはしてない」と主張してるんです。この食い違いがいまだに謎として残されてるということなんですね。フィル・コリンズも自伝に「結局わからないままなんだ」と書いてましたので、今でも完全に謎なのですね。でも、こういうくだらない言い合いしながらも、決してグループが壊れないというのもジェネシスなんですよね。
Land Of Confusion MVのパペットで一番恐ろしいのは
イギリスにはSpit Imageという人形を風刺に使った番組があったんだ。シンプルな政治的メッセージが込められた曲だったので、それを使ってビデオを作るというアイデアは刺激的だった。でも特に恐ろしいと思ったことはないね。軽妙な演出だと思った。
一番面白かったのは、番組にはすでにフィルの人形があったことなんだ。いつも泣いているので目がないんだよ。
そこで、MVのために目のある新しい人形を作ることになった。マイクと僕の人形は、このビデオのために特別に作られ、翌日にはどこかのオークションで売りに出されたよ。
このビデオで一番良かったのは、僕らが映っていないことだね。他にロナルド・レーガン、マーガレット・サッチャー、ベニート・ムッソリーニ、ボブ・ホープ、マドンナなどのポップカルチャーな人形が出ているね。
フィルは俳優で、自分の力を発揮できるけど、マイクと僕はできないから、とてもよかったよ。グラミー賞も受賞した。でも、僕らはその中に入っていないんだ。おもしろいよね。何が賞を取るのか、僕にはよくわからないよ。
いかがでしょう。ジェネシスやトニー・バンクスを知る人にとっても、これはなかなかよくできた記事だったと思います。やっぱりトニー・バンクスの性格が良く出てますし、彼らのスタジオでの雰囲気もちょっと感じられました。
そしてこれが言い切れてしまうのが、まさにトニー・バンクスなのですね。
もし、ジェネシスをこれから聴こうという人がいたら、これは良いガイドになると思います。本当に、全ての時代を通じて、彼がいなければジェネシスというバンドは存在しなかっただろうし、恐らくあれほどのヒットにもならなかったというのは間違いなく、彼こそ、ロックの歴史の中でもっと評価されなければならないミュージシャンではないかと思うのです。
最後に、ジェネシスやフィル・コリンズのマネージャーを永年務めたトニー・スミス(カリスマレコードの社長だったトニー・ストラットン・スミスとは別人。敏腕マネージャーにして、あのバリライトの会社に出資してネーミングまで考えた張本人)がトニー・バンクスに送った言葉をご紹介します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?