中国の最新マンガ・アニメランキング。 『世界最⾼の暗殺者、異世界貴族に転⽣する』がスマッシュヒット!
中国の主な配信サイトの日本ランキングをまとめました。エンタメ規制や思想統制が進む中、『世界最⾼の暗殺者、異世界貴族に転⽣する』が初登場で第1位になるなど、今、注目を集めています。
はじめに
こんにちは。Spicemart(スパイスマート)です。
私たちはアジアや北米を中心に、ゲームの開発・運用に役立つ情報を収集・分析し、お客さまであるゲーム企業に情報を提供をしている調査会社です。
このnoteでは「ゲームやアニメが好き」「世界のゲーム事情を知りたい」といった方々にも興味を持っていただけるような内容を配信しています。
ウルトラマンティガ騒動からわかる中国のマンガ・アニメ規制
2021年9月、日本の新聞各紙が中国で「ウルトラマンティガ」が一時的に視聴できなくなったことを報じました。
最近の中国は、ゲームやアニメなどへの規制が進んでおり、例えばゲームは市場に出るための版号が取れない、アニメは放映遅延など、ファンにとっては悲しい状況が続いています。
そこへきて、まさかのウルトラマン・・・。
たちまち "ウルトラマンティガ配信中止" の話題がWeibo(微博)でトレンド入りとなりました。
中国の報道によると、”暴力的な内容を含むアニメなどの配信停止” を求める意見が当局幹部からだされたため、プラットフォーム側が自主規制として、問題のある回を削除したようです。
2021年4月の段階で発表されていた「アニメが未成年者の成長と安全を脅かす調査報告」の中で、『ウルトラマンティガ』や『名探偵コナン』の名前が調査対象として挙がっていたことも、今回の自主規制に影響したのだと推測されます。
現在の中国では、ウルトラマンが人民のために怪獣を退治するシーンも”危険”だと判断されてしまうというわけです。
今までも、中国には規制強化シーズンがありました。
けれど、そのいっときをやり過ごせば、また賑やかに様々な作品が放映されるのが最近の中国でした。
しかし今年の流れをみると、未成年者へのゲーム規制や思想教育、あるいは大企業への制裁、といったことが次々行われており、おそらく、しばらくは規制が緩むことはないでしょう。
・女性っぽい男性
・同性愛
・暴力
・国家転覆
などの描写を含む作品は、今後ますます当局やプラットフォームの自主規制にひっかかる恐れがあります。
直近のマンガ・アニメランキング
では、そんな状況下で日本のアニメやマンガの人気はどうなっているのでしょうか。
人気配信サイトの日本ランキングをご覧ください。
10月 マンガランキング
●騰訊動漫(Tencent Animation and Comics)
現在、中国で影響⼒が最も大きいと言われているサイトで、中国産のマンガ、アニメのインキュベーターでもあります。
新作では『トリコ』が初ランクインです。そのほか、『ダイヤのA act2』が上半期以来の復活となりました。
●快看漫画(Kuaikan Comic)
中国の新世代型コンテンツコミュニティで、アプリのユーザーは2億⼈を超え、⽉間アクティブユーザーも4,000万人を超える人気サイトです。
先⽉と順位のみの移動となり並んだ作品は同じでした。『ONE PIECE』や『NARUTO』といった日本を代表する作品が、このプラットフォームでは人気です。
●bilibili漫画(bilibili Comic)
「中国のYouTube」と言われるbilibiliが運営する有料のマンガメディアです。⽇本・中国・アメリカなど様々な国の作品をカバーしており、他のサイトよりも作品公開スピードが早いのが特徴です。
『地縛少年花⼦くん』が15以内に初ランクイン。コアな日本作品ファンが多いサイトならではのランキングとなっています。
10月 アニメランキング
●愛奇芸(iQIYI)
バイドゥが株式を保有するオンライン動画サイトです。⽇本のテレビ局数社から、最新の⼈気アニメを多く購⼊しています。
『ONE PIECE』『名探偵コナン』など高い知名度を誇る作品が並ぶサイトですが、『世界最⾼の暗殺者、異世界貴族に転⽣する』が初ランクインで第2位に。
また久しぶりに『SLAM DUNK』もランクインしています。映画化が発表されたため、過去のアニメを⾒返しているファンが多いと推察されます。
●騰訊視頻(Tencent Video)
テンセント傘下のオンライン動画サイトです。⽇本のテレビ局と協⼒し、 多くのアニメをリアルタイムで更新しています。
ウルトラマンや仮⾯ライダーなど低年齢向きの日本作品がランキングを占めるサイトですが、今月は『世界最⾼の暗殺者、異世界貴族に転⽣する』が初ランクインとなっています。
●百度視頻(Baidu Video)
YahooやGoogleに対抗する中国語圏最⼤の検索エンジンBaiduのサイトです。バイドゥ本体のユーザーが多いため、こちらにもかなりのユーザーがついています。
今⽉は『⾃縛少年花⼦くん』と『クロスアンジュ 天使と⻯の輪舞』の2作が初ランクインとなりました。残る8作は先⽉と同じです。
●bilibili動画(bilibili)
もっとも有名なサブカルファンのコミュニティです。日本アニメの放送権獲得に力を入れており、独占配信となる作品も多くあります。中国市場ではマイナーでも、bilibiliでは人気を得ている作品が見られるのが特徴です。
『世界最⾼の暗殺者、異世界貴族に転⽣する』が初登場で1位に輝きました。ダークホースと言われた『王様 ランキング』も2位につけています。
『世界最⾼の暗殺者、異世界貴族に転⽣する』が10月ランキングを席捲!
日本でも最近『王様ランキング』の中国人気について報じられていますが、
この作品、大々的に宣伝が行われたわけでもないのに、日本アニメファンの注目を集めているようです。
しかし、それよりさらに人気を集めたのが『世界最⾼の暗殺者、異世界貴族に転⽣する』です。
中国では複数のサイトでランキングを席巻しており、2021年10月の最も⼈気を集めた⽇本アニメとなりました。
原作がライトノベルであるこの作品には「暗殺者」や「生まれ変わり」という輪廻についての話もでてきますが、今のところ規制にはひっかかってはいないようです。
この作品と比べると「ウルトラマンの方が健全では?」と思ってしまいますが、やはりウルトラマンやコナン、NARUTOといった超人気番組については、中国当局もかなり注視しているのでしょう。
実はこの作品、日本でも2021年10月からABEMAアニメチャンネルで放送開始となりました。
ABEMAアニメチャンネルが、10月から放送されたアニメ作品を対象にランキングを発表していますが、ここでも「10代女性の視聴数ランキング」で『鬼滅の刃』に次いで2位となっています。
10月に日本で放映を開始された作品が、10月末の中国ランキングで1位に輝く。
この海外へ伝わるスピード感といい、日本と中国の若者の感性が似てきている点といい、なんだか新しい時代の到来を感じさせます。
日本のアニメやマンガ作品が世界に浸透していくことこそ、真の平和や相互理解に繋がることはないでしょう。
『世界最⾼の暗殺者、異世界貴族に転⽣する』には、このまま規制の網にかからず、中国でファンを増やし続けてもらえたらと祈るばかりです。
以上です。
中国の配信サイトについてまとめた記事もありますので、よろしければぜひご覧くださいm(_ _)m
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