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映画「オッペンハイマー」考 [1]
クリストファー・ノーラン監督のアカデミー賞話題作の映画「オッペンハイマー」を見た。冒頭のショット写真は核分裂で 赤く燃え上がる火球の真ん中に立つオッペンハイマー(キリアン・マーフィー)。(SHOT WITH IMAX FILM CAMERAS 作製)
何故の業火なのか。冒頭から大音響の核分裂原子爆弾実験シーンが続く。核分裂が引き起こす熱量を浴びて炎上する巨大な火球体が大気中に渦巻き、上昇してゆ
アフリカ・ルポの物語
キリマンジャロの豹』・断章
第3章 「アルジェリア独立戦争」とは何だったか
石のモザイク模様の道に雨が降る。 七色の雨傘が花のように舞う。人々が急ぎ足で駆け抜ける。 映画のこの冒頭のシーンは、あまりにも印象的だった。
「シェルブールの雨傘」は、ノルマンディーの港町シェルブールを舞台にしたミュージカルのメロドラマ。映画を見ていない人でも、あの甘美なミシェル・ルグランの音楽はご存じだろう。
アフリカ・ルポの物語
『キリマンジャロの豹』・断章
第2章 西アフリカ奴隷貿易の拠点「ゴレ島」 ヘミングウェイは、とりあえず自然の中のハンターとしてアフリカの旅人となった。ところが、ぼくがアフリカで見たものは、アフリカの負った深い歴史の傷跡だった。ぼくは、ヘミングウェイのような自然ハンターではなく、とりあえず歴史のハンターとして、アフリカの旅人になった。
アフリカは自分の足で立つことができなかった。そこには、アフリ
アフリカ・ルポの物語 「キリマンジャロの豹」・断章
冒頭の写真は、新聞記者時代の私が初めて書いたノンフィクション『キリマンジャロの豹が目覚める』の口絵写真です。イラストはアフリカ大陸を駆けるシマウマのイメージを写真家・内藤忠行さんに描いていただいたものです。
この本はアフリカ取材のあと、新聞には書ききれなかったアフリカルポの内面の物語を、1986年に本にしてまとめたものです。本はもう絶版になっていますが、絶版のまま埋もれるのは忍びなく、本の文章
「ブギウギ」と淡谷のり子
戦後の昭和に青春時代をすごした私は、かなりの懐メロ好きだった。しかし、そのことは隠していた。
というのも、学生時代には周囲の仲間に合わせてビートルズやモダンジャズを聴き、虚勢を張って、音楽喫茶通い、クラシックもかなり聴いていたものだ。そのおかげでビートルズもジャズも、いっぱしに好きになった。
しかし巷によくいる音楽通ぶったディレッタントに、私はとてもなれないと思っていたので、その裏で昭和の
大谷選手の結婚報道で加熱するメディア狂騒曲
NEWS.YAHOO.CO.JP
大谷翔平が明かした結婚相手「普通の日本人」は7月にお披露目か 大物同僚妻との奥様会への参加はどうなる(NEWS
政倫審、予算案通過の政治ドタバタ劇大混乱の中、大谷選手結婚報道にメディアはお祭り騒ぎ狂想曲に踊っている。
記者会見した大谷選手は、「メディアがうるさいので」、と結婚発表理由をジョーク交じりに明かした。
こういう場合、欧米でうるさいのは「パパラ
映画監督として海外で活躍するジャーナリスト伊藤詩織さん
伊藤詩織監督、性的暴行の調査過程を自ら記録『Black Box Diaries』サンダンス映画祭へ出品(cinemacafe.net) - Yahoo!ニュース
今年1月に米国ユタ州で開かれた独立系映画祭「サンダース映画祭」で
ジャーナリスト伊藤詩織さん監督の映画「Black Box Diaries」が、国際(長編ドキュメンタリー部門で出品された。
自らの性被害体験をテーマにしたドキュメンタリ
「原発安全神話」作ったマスコミの責任
大新聞とCIAが主導した原発導入
「野獣も飼いならせば家畜となる」
いまから約60余年前、サンフランシスコ平和条約で日本が独立した直後のことである。
「野獣も飼いならせば家畜となる」。日本の新聞の中で原子力平和利用キャンペーンの先陣を切った『読売新聞』は見出しでこう謳った。
正力松太郎率いる読売新聞と傘下の日本テレビ幹部の柴田秀俊は、秘密裏に米国CIA関係者らと接触して、日本に原発を
第二部 大震災、世界最大の原発事故の 同時発生 (2)
ツイッターが告げた危機
首相や官房長官や東電や経産省や文科省やマスコミが、メルトダウン情報を隠していたとしても、3.11の深夜にはツイッターでメルトダウウンの危機を指摘する情報はしきりに流れていた。原子力の素人だけでなく、相当な専門家や内部に詳しい人たちが実名、匿名でツイッターのTLにリアルな情報を流していた。
3.11以降、ツイッター人口は昨年の約800万人から一
第二部 大震災&世界最大の原発事故の 同時発生 (1)
福島原発事故は、地震・洪水だけで東日本が甚大すぎるダメージを受けていたのと、同時発生した。
M.9の大地震に次いで、史上最大の津波に襲われたので、絶対安全神話に支えらてきた福島第一原発はあえなく崩壊し、広島原爆の百数十発に相当するという大量の放射性物質を日本国内と世界の大気と海中、土中にまき散らした。
チェルノブイリを上回るかもしれない悲惨な原発事故が起こったのだ。
おそらく世界史上、これ
大災害は新しいメディアを生む
草の根のツイッターがマスメディアを凌駕した
阪神淡路大震災で特記すべきは、黎明期にあったインターネットの活躍である。大阪大学の学生が発したSOSのメッセージがホワイトハウスへ届き、米国からの地震の連絡が官邸に入ったといわれる。首相に地震発生情報が正式に伝達されたのは、地震発生から数時間後だった。
当時は社会党の村山首相の時代で、自民、社会、さきがけ3党の連合政権だった。村山首相はテレ
タブー化した死のリアリティ
遺体を避けた日本の報道
当たり前のことだが、災害とは残酷で悲惨な人間の命が失われる現場があり、それは戦場と同じことだ。日本のマスコミが好む美談はまずない。普通の生活者が突然、予想だにしなかった一瞬の間に命を落とすという意味では、戦場よりも惨い。
そんな現場のタブーの一つに、遺体をどう表現するかの問題に行き着く。
しかし日本のマスコミは死体を避