陰陽学説は東洋医学の基礎
陰陽学説って何が言いたいの?
陰陽(いんよう)って聞いたことありますか。「おんみょう」じゃないの?と思われた方もいると思います。「いんよう」も「おんみょう」も「陰陽」と書きます。でも。読み方によって使い方が少し変わります。
・いんよう:例えば陰陽学説(いんようがくせつと読む。おんみょうがくせつとは読まない。)のように、中国の古代から伝わる哲学などをいんようと言います。
・おんみょう:陰陽道(おんみょうどう)や陰陽師(おんみょうし)などは、陰陽学説から日本独自に発展したものを言います。
ここでは、陰陽学説を解説します。
陰陽学説とは、自然の中で対立するものの関係を整理したものです。自然の中で対立した2つを発見し、その関係を詳しく考え纏めたものが陰陽学説です。対立したものの関係を考えると、お互いを補い合う関係であったり表裏の関係であったりしているとことがわかります。例えば、
・雌と雄:互いに補うことで子孫を作ります
・明と暗:日が昇れば明るくなり、日が沈めば暗くなます
・温と冷:暑い季節があれば寒い季節があります
・火と水:火は温めるが水は冷やす効果があります
古代の人はこういったことをいっぱい考えた末に次のような答えを導きだしました。
「対立するものはお互いのバランスを保とうとしている」
これが陰陽学説で言いたいことです。
そして、我々が生きる自然界は、対立するものが沢山あってそれぞれが補いあうことでバランスを保とうとしています。また、私達の体の中でも同じことが言えるのです。
陰陽学説と人の体
体は小宇宙だと聞いたことがある方もいらっしゃると思います。前章で自然の中で対立した関係を整理したものが陰陽学説だと言いました。この自然とは宇宙も含めています。自然はバランスを保とうとしています。体の中でもバランスを保とうとしています。自然も体も共にバランスを保とうとしているので、体は小宇宙(小自然)だと言っているのです。
また、体は自然の影響を受けます。自然には見えないエネルギーがあり、見えるものを動かします。体も見えますが見えないエネルギーによって動かされます。例えば、見えない暑さによって体は汗をかき、見えない寒さによって鳥肌が立ちます。汗をかく仕組みや鳥肌が立つ仕組みは科学的に説明できても、それらに関係する細胞を動かすエネルギーは見えません。陰陽学説はこういった自然と体の共通点を見出し、自然と体は影響しあっていることを導きだしたのです。
東洋医学の健康とは
それでは、健康とはどういう状態なのでしょうか。世界保健機構(WHO)や厚生労働省はそれぞれ健康について定義をしています。気になる方は検索すればすぐに出てくるので調べて見てください。
東洋医学で健康とは、
「陰陽のバランスが保たれている状態」を言います。
自然も体も陰陽があり、それぞれが対立し補完しあってバランスを保っているのです。自然界で陰陽のバランスが崩れると災害や生物の絶滅、さらにはケンカや戦争などが起きます。人は陰陽のバランスが崩れると病になります。あまり病気をしない人は日頃から陰陽のバランスの取り方が上手なのです。それはストレス(陰)をため過ぎず、遊び(陽)すぎず、食べ飲み(陰)すぎず、仕事(陽)をしすぎないようにすることで病気から体を守っているのです。
人の体と陰陽
では、体がどのように陰陽に整理されてきたのか解説します。人はまず生まれると男女という性別で陰陽に分けられます。そして、お臍(へそ)から上を陽、下を陰とし、体の表面にある皮膚を陽、その内部を陰としました。また、胎児のように体を丸めて膝を抱えた状態で外側にあるのが陽、内側にあるのが陰です。更に分類すると、お臍から上の腹側は陽中の陰、背中は陽中の陽となります。
体内では、口から肛門までつながっている臓器が陽であり、肝臓、心臓、腎臓などは陰です。
五臓六腑という言葉を知っている方も多いと思います。五臓とは、肝、心、脾、肺、腎の五つの臓器でこれらは陰です。六腑は胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦の六つでこれらは陽です。(東洋医学では、五臓に心包を加えて六臓六腑として考えています。)
この様に体を陰陽に整理したのです。
病と陰陽
東洋医学では陰陽のバランスが保てなくなっている状態を病と言います。「陰が強ければ陽が病む、陽が強ければ陰が病む。陽が強ければ熱くなり、陰が強ければ寒くなる。」と古典の黄帝内経に記述があります。
簡単な例を挙げますと、夏の炎天下で長時間草刈りをしたら熱中症になるのは体の中の陽が強くなり過ぎて体を冷やす陰が弱まった状態です。また、冷たいアイスやジュースを摂りすぎてお腹を壊すのは、陰が強くなりすぎて体を温める陽が弱くなった状態です。足が浮腫むのは水分である陰が強まり、水分を動かすエネルギー(気)である陽は弱まった状態です。
この様に体の陰陽のバランスが崩れると病が現れるのです。東洋医学では陰陽のバランスがどうなっているかを確認し、そのバランスを整える治療を行います。
この章のまとめ(ここを読めばだいたい解る)
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