気、血、津液(水)、精、そして神
生命活動を維持する最も基本的な「精」とは
生理物質ってなんだ
東洋医学において生理物質は、生命活動を維持するために不可欠な物質を指します。具体的には、気、血、津液(水)、精の4つです。
また、神(しん)は生命活動そのものを指し、生理物質の代謝を調節したり各臓腑の生理機能を統率する働きがあります。さらに、精神・意識・思惟活動も神の働きによるものです。
それでは、生理物質をそれぞれ解説していきます。
精ってなんだ
精はその人を構成する基礎であり、生命活動を維持する最も基本的な物質です。精は父母から受け継ぐ精(これを先天の精という)と飲食物から得られる精(これを後天の精という)が合わさった物質です。
先天の精は人体の成長・発育の源となります。
精はいろいろある
・先天の精 父母から受け継いだ物質。人体の成長・発育の源となる
・後天の精 飲食物から得られる物質。気や血となり全身の組織・器官に行きわたる。また、精を補充している。
・臓腑の精 臓腑に行きわたった精は臓腑の精となる。そこで臓腑を滋養する。また臓腑で精は気となり臓腑の生理機能を維持する。
・生殖の精 生殖活動において男女双方の生殖の精が結合することで新たな生命を誕生させる。
このように、精はその人の始まりであり、生命活動の基本的な役割を果たしているのです。
精の役割をより詳しく
生まれてから一定程度まで精が充足すると天癸(てんき)が産生されます。天癸とは生殖機能を促進する物質のことです。精が充足することで体の組織・器官を滋養することができ、正常に活動できるのです。
精は必要に応じて血に変わります。ですから精が充足していれば血も旺盛となります。
精は気にも変化します。気によって体は新陳代謝を活発にしたり、制御したりします。
精は神(しん)を維持します。神は生命活動の総称です。神が維持されなくなると倦怠感などが現れます。
精が足らなくなると何が起こる?
精は五臓(肝、心、脾、肺、腎)で言う腎に貯蔵されます。腎の精が不足する原因は、食生活の乱れ、過労、出血、長期間の病気、体質などがあります。また過度な性行為も精を消耗します。
生まれながらに精が少ないとダウン症などになりやすいとされています。これは高齢出産になるほど発生率が高まりす。精は加齢とともに減少します。これが要因とも考えれています。また、成長不良・発育不良などが起こります。精の不足は体の抵抗力が落ちるため、虚弱体質だったり風邪を引きやすくなったりします。
熱を発すると精も損傷します。風邪で熱を出した後は精が不足します。治癒した後、食欲が増すのは不足した精を補うためです。
精が不足すると不妊症、無月経、勃起不全、性欲減退などが起こります。
精は骨も滋養しています。骨を滋養できなくなると足腰のだるさや軟弱化が起こります。また骨がもろくなります。
精の滋養が不足した状態が続くと早く老けます。
精は脳を滋養しています。脳の滋養不足により耳鳴り、難聴、眩暈、頭髪の脱毛、忘れっぽくなるなどが起こります。
この章のまとめ(ここを読めばだいたい解る)
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