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五行学説ってなんですか


五行学説の始まり

 五行学説は陰陽学説とは別に発生したと考えられています。古代インドは五代や五輪とも言われ「地、水、火、風、空」を指します。5と言う数字に拘れば古代ギリシャのプラトンが5種類の多面体があります。身近なところでは、五体(両手足と首)とか人の指は5本など、5という数字は自然や人との関わりが深いのです。
 さて、五行学説を構成するのは「木、火、土、金、水」です。これはもともと五材と呼ばれ人の生活に必要な5種類の素材を示していました。5つの素材が相互に関係するという理論が発展し五行となったのです。五行の行は「めぐる」という意味があり、産生する循環や相互に抑制することをしめしています。五材が五行という理論に発展していったことについて解説します。

五材が五行となるまで

 それでは「木、火、土、金、水」を一つずつどのような性質を持っているのか解説します。
・木 草木が日に向かってまっすぐに、また障害物を避けて曲がりながら成長する性質があります。これを「曲直」と言います。
・火 炎が上に向かって燃える性質があります。これを「炎上」と言います。
・土 農作物を育てる性質があります。これを「稼穡(かしょく)」と言います。
・金 金属は人に加工されて形を変える性質があります。
・水 高いところから低いところへ流れ、潤す性質があります。これを「潤下」と言います。
 「木、火、土、金、水」は互いに産生しています。木は火を生み、火は炭(土)を生み、土は金(金属)を生み、金は水を生み、水は木を生み(育てる)ます。この関係を「相生」と言います。
 また、木は土の栄養を奪い、土は水を埋め、水は火を消し、火は金を溶かし、金属は草木を切るという関係もあります。これは勝ち負けが決まっている関係です。この関係を「相克(そうこく)」と言います。
 この他に、「相乗」「相侮(そうぶ)」の関係があります。「相乗」は相克が過剰になった状態です。例えば水をやりすぎた木が根腐れするような状態です。「相侮」は本来は勝つはずが負けてしまっている異常な状態です。火力が弱すぎて金属を変形できない、ノコギリの刃が弱くて大木に刃が立たないのような状態です。
 このように素材同士の関係を理論的にしました。そして循環し、互いに制約しあうことでバランスを保っていると纏めました。こうして五行が基礎が出来上がったのです。

人体と五行の関係

 五行色体表というものがあります。これは、「木、火、土、金、水」を軸にして、体や自然がどれに属しているか整理したものです。体では「木ー肝、火ー心、土ー脾、金ー肺、水ー腎」、自然では「木ー春、火ー夏、土ー長夏、金ー秋、水ー冬」が属しています。それでは木ー肝(肝臓)について見ていきます。
 木に属しているのは、肝臓の他に目、怒り、酸っぱい、春、風などがあります。東洋医学では、肝臓は気の流れを調節する作用があるとしています。木が上へ伸び枝を張り巡らせるように、肝臓は気を体の上へと上げ、全体に巡らせる作用があるからです。ですから、肝臓が不調になると気が上がりすぎたり、気が下がったりします。気が登りすぎると充血したり怒りやすくなったり、手足をばたつかせて落ち着きません。気が下がりすぎれば鬱や気分が落ち込むなどが現れます。また春は肝臓が活発になりやすく、風に長く当たり続けると肝臓に不調がでます。酸っぱいものを食すと肝臓に良いです。五行色体表をもとにすると、症状や季節などからどこに不調を来しているのか解りますし、何を食べたら良いのかアドバイスもできるのです。
 全ての関係を説明するのは別の章に纏めますのでご了承ください。

この章のまとめ(ここを読めばだいたい解る)

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鍼灸師です。東洋医学について、誰でも解るように易しく解説します。病気やケガで悩まれている方、身近な人へのケアをしたい方、セルフケアをしたい…

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