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女性の地方からの流出

先日クローズアップ現代で、女性の地方流出が取り上げられて話題になりました。

地方を去る女性たち・・・ なぜ地元に戻らない?女性流出 本音を聞いてみた - クローズアップ現代 取材ノート - NHK みんなでプラス

私も地方から出てきたので他人事でなく、興味深く記事ですが読みました。


〇地元について

 小学校は1クラスで少子化に伴い既に廃校になりました。クラスの子はほとんどの家が3世代同居で家族構成なども自然に知っていました。お母さんは専業主婦が多く働いていても祖父母が見ているか近所の人に面倒を見てもらっていて、保育所に行っている子、学童を利用している子はいませんでした(そもそも小学校内に学童そのものがあった記憶が無い)。

慎 ましいことが美徳とされていたため、あまり目立つこと(特に金銭的な余裕を見せる)は良くない雰囲気はありました。わかりやすいものとして集落の中では空を泳ぐ大きなこいのぼりは禁止が暗黙のルールだったそうで、確かにこいのぼりを設置している家は近くには無かったです。七五三もやらないと同居の祖母に言われてしまったので、母方の祖母が用意してくれた晴れ着は、さくっと母が着せて近所の神社(神主さんがいるような立派な所ではない)にお参りしただけと母が言っていました。子供の成長を願うこいのぼりや晴れ着の準備ができないというのは、今の様子からすると結構な話だと思います。おそらく、豊かな土地でなく昔はみんな貧農でお祝いを準備できない家庭もあったので、そちらへの配慮が残っていたのかなと思います。 一方で、子供が生まれたら人形を贈る風習があったので、私の家には雛人形の7段飾りの他、ガラスケースに入った市松人形やその他の人形が20ケース以上あったので、家の外に見えるものはダメ、でも見えなければOKみたいなことだったのでしょう。

 両親は共働き(といっても決して裕福な部類ではない)だったので、「私ちゃんちは、いいよね~」というようなことを友達のお母さんやおばあちゃんから言われることもありました。小さい頃はお母さんがいつもいてくれる方がいいと思っていたし、大きくなってからはそう思うなら働きに行けばいいのにと思っていました。

 なんでも自由にできるというわけではなかったしプライバシーは基本なかったけれど、産まれた頃からそうで他の環境を知らないので特に違和感を感じることもありませんでした。母も隣町から嫁いできたので、多少の習慣の違いはありつつも大きな差ではなかったのと若いうちに結婚しているので、そういうものなのかなと思っていたようです。


〇地元を離れて

 私は第一志望の大学に落ちて1人暮らしをすることになったので、積極的に家を出たいと思ったわけではありません。1人暮らしをしてすぐにはさみしかったですし、お盆休みなどで地元に帰れるのはうれしかったです。ただ、1人暮らしに慣れてみるとすごく自由で静かでした。その後実家に帰ったときにふと私はもうここで住むことはないなと寂しく思った記憶があります。就職活動で地元企業も受けてはみたけれど、ここじゃない感があったし、親の死に目には会えないかもしれないと覚悟してその時に後悔しないようにできることを今、している感じです。


〇同級生たち

 田舎なので、同級生がどうしているかはなんとなくわかっています。ほとんどが地元、そうでなくても県内に住んでいる人が多いです。たぶん私が一番遠くに住んでいる。大学に行かなかった子も多いので、若い時は再会しても正直あまり楽しめなかった(私が話す言葉や内容を考えて当たり障りないことを話していた)のですが、もう少し時間が経てばそういうこともとっぱらって昔話に花を咲かせられるのかなとその日を楽しみにしているところがあります。


〇地元のいいところ

田舎の大変なところもあるけど、故郷があるのはいいことだなとも思っています。
私が思う地元のいいところ

・自然が豊かで、季節に合わせて子どもが色々な経験ができるため、幼少期の情緒形成に良い

・家族だけでなく近所の大人や世代の違う子供との交流があるため、コミュニケーション能力が高くなる

・親が年をとっても近所の人と交流があるため、やらなければならないことや楽しみがある。困った時にも助け合ってもらえる(少なくとも孤独死は無い)ので安心

 新緑、水を張った水田や実った稲、夏の川のせせらぎなど私の原点はここだなと思うのですが、自分が地元に帰ろうという気には今の所全くなっていないものの、それを支えてくれている人への感謝の気持ちはあるので、できる範囲でふるさと納税をしています。


〇もし地元に残っていたら

人生にifはないけれど、もしもを想像してみます。

・公務員になっている

・今の夫に出会わず、他の人ともう少し早くに結婚

・子供は3人

・どちらかの両親と同居。将来的にヘルパーや施設も利用しつつ介護

・私の担う家事・育児の役割は多め

・休みの日に遠出はせず、近所で遊ぶのがメイン。家や地域の仕事も結構あって忙しい

・長期休みは本家で過ごす。旅行もたまにはする

 容易に想像できるし、地元を出なかったら自然な流れとしてそれはそれで幸せに暮らしていると思います。でも田舎がつらいと言っている人や実際に出ていく人がいることも十分理解できます。

 ただ、私が地元を離れたのはインターネットが一般的になる前のことで、テレビで見る都会の生活は別世界のことと思っていました。田舎の普通が都会の普通とは違うことや自由が制限されていることに気づかないくらいにインストールされてしまっていたので、今インターネットで情報があふれていたらすごく窮屈に感じていたかもしれません。そして、私自身が地元で暮らすのはまだしも、夫に私の地元で暮らしてもらうのは無理だなと思います。地域の仕事とかなぜお金ももらえないのに自分の時間を使わなければいけないのかなど全く理解できないと思います。


 今回疑問が呈されたことで、困っている人が私だけじゃないんだと思えたり、当たり前すぎて自分の発言や行動が女性を苦しめていたんだと気づく人が出てきて生きづらさを感じる人が少しでも減るといいなと思います。

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