トキの仕組み
旧暦と言われる太陰暦が使われなくなって150年近く経ちます。
今の暦は太陽暦、グレゴリオ暦と呼ばれるもので、明治維新後の日本が欧米列強に追いつこうとして、明治6年時間軸も列強の使っている暦に変えたのです。
(今年2024年も2月10日が旧暦のお正月でしたから、中国をはじめ旧暦の暦で生活しているアジアの12か国は春節と呼ばれる正月休みでした。)
だから以前使っていた暦は、旧暦と言われています。
ただ、この旧暦、四季を持つ日本人の生活感にとっても合っていました。
日本人は花鳥風月を兆しとして生活に取り入れてきた民族ですから、月の満ち欠けは重要な役割を果たしていたのです。
例えば、朔日、サクジツとかツイタチと読みますが、
月の始めの朔日は必ず新月、
そして、
15日あたりが満月、
朔日からの三日目が三日月、
ついでに言うと、
8日前後が上弦の月(弓の弦が上になったような月)、
23日前後が下弦の月、
さらに言うと
新月から2日目が二日月、
13日目が十三夜、
16日目が十六夜(イザヨイ)、
17日目が立待月、
18日目が居待月、
19日目が寝待月、
26日が二十六夜月
28日29日が明けの三日月、
これでわかるように、昔の日本人は月で日を読んでいたのです。
月で日を読むから月日なのです。
特に満月の日は、電気のない時代は大切な夜間照明だったのでしょう。
宗教上でも大きな意味を持ち、多くの祭りや行事は満月の日に行われていたようです。
満月に限らず、新月、上弦、下弦の月も季節の変わり目、区切り、節目、それがトキの意識として生活に根付いていたのです。
トキとは、休日や祭日の節を意味し、それ以外の日常をアイダと呼んでいたので、トキとアイダで時間と呼ぶようになったのです。
これは植物に似て茎と茎の間に節をつくり、そこから芽や枝葉から花を咲かせるが如くで、
人も節目節目を転換点に区切りをつけてリセットしたり一休みしたりして、現状を維持拡大、成長させてきました。
江戸時代は全国で統一した休みはなく、組織やコミュニティで各々休んでいたようです。
ですので祭りだったり縁日だったり、節に合わせて広範囲な休みになったりして、節の行事が生活に根付いていたのです。
明治以降全国一斉の休みができ、さらに週休二日になって日を読む習慣や節を祝ったり祭る習慣がどんどん薄れていきました。
節のトキとその他をアイダで時間、今も今の時が過ぎて行っているのです。
トキを大切に生活していきたいものです。
これからの季節、夜空を見上げて泪する人もいるでしょう。
オレか、
今宵は夜空を見上げて月で日を読んでみましょうか。
旧暦の日読みになりますけどね。
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