【観劇感想】木ノ下歌舞伎『勧進帳』
昨日行ってきました。
これから初めて観る方、ネタバレあります。
木ノ下歌舞伎は初観劇。
まず歌舞伎の『勧進帳』を身体に入れ込んだそう。完全コピー。富樫役の坂口さんのインタビュー記事に載っていた。
それで、なんだか面白そうだし、池袋は乗り換えなしで行けるから観てみようと思った。
途中、歌舞伎座の舞台で演じられてるように感じた。
現代感もあって、すごく面白かった。
両側からお客さんが観てる状態、しかも結構な至近距離で、言ってみれば花道でずっと演技してるような感じで、よく耐えられるなぁと心の強さにも感心した。
実は歌舞伎の『勧進帳』はまだ観たことがない。
歌舞伎を観始めてから8年も経つし、その間に公演は何度かあったのだけど、違う演目観てたんだな。
毎月昼夜観てた時もあったのだけど、ここ何年かは観たいと思った演目がある部を観てた。
本当は、チケット購入した時にはなかった、木ノ下さんによる『勧進帳』のプチ講座が終演後にあったのだけど、用事もあったので、断念。
なので、帰ってからYouTubeと歌舞伎の演目の解説の本を読んだ。
松葉目物で、様式美がふんだんに盛り込まれた歌舞伎十八番の名作。長唄の名作でもあるらしい。
なるほど、三味線や鼓、笛までもそのまま声で表現して再現しているところもあれば、台詞にしたりしていて、面白い。
YouTubeで「長唄 勧進帳」で検索したら沢山出てきて、専門用語もあって、プチパニックだったけど、長唄としてもやはり、名作ということなんだな。
ガイドとYouTubeを見た限りでも、物語の1つ1つがちゃんと盛り込まれていて、しっかり歌舞伎をしていたんだと感じた。
現代風にかみ砕いているけれど、歌舞伎へのリスペクトみたいなものも感じられた。
弁慶が義経を金剛丈で打つシーンはやっぱりじーんときた。
無事に関を通り、弁慶が義経に謝るところも。
主人と家来を越えた、ずっと一緒に乗り越えてきた信頼というか、強い絆みたいなものがあるからこその関越えだというのが、すごく丁寧かつポップに表現されてて、良かった。
義経、風格があってかっこよかった。
それにしても富樫、必死だったなぁ。
でもその必死さが良かった。
詰寄せの場面がダンスのようで緊迫感もあった。
最後追いかけてくるシーン、面白かった。
富樫、すっかり弁慶のファンみたいになっちゃってる。
延年の舞を速くやるとそうなるんだなって思った。最終的に義経以外の弁慶一行は踊ってるし、富樫は楽しそうだった。
見送った後の富樫の表情が、「でも僕はこれで良かったんだ」みたいな感じに見えて、なんとも言えない切なさを感じた。
そして四天王と番卒を演じ分け、歌も踊りもやったお三方も見事だった。
家来達の心情って全然描かれないけれど、ちゃんと個性があって、"みんな思ってることは同じ"ではなく、こういう人いたんだろうなっていうのが表現されてて面白かった。
途中途中、つっこみどころがあって笑えたりして、ノンストップ90分の舞台はシンプルだけど、色々な情景が見えて、とても良かった。
こういう世界観、嫌いじゃない。
これで本家の『勧進帳』観たら、さぞ面白いんだろうなぁと思うんだけど、近々やってくれない。
ミレールで配信してくれないかなぁ。
私は今すぐにでも観たいんだけど。
あ、DVD買えってこと?
木ノ下歌舞伎がやってるから、こっちもやっちゃうよ♪みたいなノリでやってくれると、総合的に盛り上がる気がするんだけどなぁ。
終演後、隣で公演もやっている松也さんが木ノ下さんと杉原さんと話をされていて、観に来てたんだというのと、個性的なファッションにびっくりして、観劇した余韻が吹っ飛びそうになりました(笑)