戯曲「お悩み解決ノート」 7
坊っちゃん (小声で)なんで俺が悪いことになってるんだよ。
悪いのは俺じゃなくてあいつらの方だ。
狼少年 今日も怒ってる、
ジョバンニ ほんとだね、
悠佑 あのひとって…
坊ちゃん やっぱりおれは間違ってない!
悠祐 あのー
悠祐がぼっちゃんに声をかけようとし、
狼少年とジョバンニは止めようとする。
止めきれず、声をかける。
悠祐 どうしたんですか?
坊ちゃん なんだねきみは!
悠祐 えっ、すみません
坊ちゃん なにか私に用かね⁈
悠祐 用というか…
坊ちゃん なんだね!
ジョバンニ すみません、ぼっさん。邪魔しちゃって、
ジョバンニが悠祐と坊ちゃんの間に入り、
悠祐を狼少年に引き渡す。
悠祐 ぼっさん?
狼少年 ほんとすみません、
悠祐 ぼっ…ぼっさんって…
坊っちゃん なんだ君たちか、何か用かな。
ジョバンニ 用っていうか…
坊っちゃん なんだ。もったい付けて。
ジョバンニ 今日はどうされたのかなーって。
坊っちゃん (怒ったように)今日は?
狼少年 今日はっていうか、
怒ってらっしゃるから何かあったのかなと思って。
坊っちゃん 聞いてくれるかい。
狼少年 もちろん聞きますとも。
坊っちゃん みんな揃って俺のやったことは間違ってるって言うんだ。
何も間違ってないのに。
ジョバンニ みんな?
悠祐 あなたは何をやったんですか?
坊っちゃん 俺はやり方は腕に頼ったけど、間違ってなかったし、
後悔もない。
狼少年 ぼっさんは職場の上司を殴ってクビになったんだよ。
坊っちゃん イスに座る。
坊っちゃん あんなやつ殴られて当然だ。真っ正面から勝負をせず、
自分の都合のいいように裏でこそこそと。
俺は悪を成敗してやったんだ。
なのにそれを子供みたいだとか、
大人なんだからとみんなが否定する。
悠祐 あ!ぼっさんってあの坊っちゃんか!
坊っちゃん その呼び方で呼ぶな!俺はそんなに子供じゃない!
その呼び方で呼んでいいのは清だけだ。
悠祐 すみません。
坊っちゃん あー!今日はやけにイライラするな!
悠祐 誰にそんな子供みたいって言われたんですか?
坊っちゃん インターネットの奴らだよ。顔が見れないことをいいことに
好き勝手言いやがって。
悠祐 インターネットのやつら?
ジョバンニ ぼっさんはエゴサをよくするんだよ。それでよく怒ってるんだ。
悠祐 へぇースマホ持ってるんですね。
狼少年 最初はこれが時代の最先端だ!とか言って威張ってたんだけどね。
坊っちゃん 俺は誰に何を言われても間違ってない!そう思わないか?
悠祐 まあ…両方の言い分もわかりますけどね、
坊っちゃん なんだと?!
ジョバンニ 間違ってません!ぼっさんは間違ってないですよ!
ジョバンニ 悠祐に目で合図を送る。
狼少年 そうですよ!あはは…
坊っちゃん ……俺だって自分が子供っぽい性格なのはわかってるよ。
でも、それが俺だ。子供の時から今まで変わってない。
ならもう変わることはできないんだよ。
でも俺は間違ったことはしてない
間違ったことはしないって心に決めてるんだ。これが俺なんだ
悠祐 すごいですね。自分の悪いところも認めてこれが俺だなんて。
狼少年 確かにこれが俺だなんて認めてなければ言えないよね。
坊っちゃん なんだ。お前らは認めてないのか?
悠祐 ジョバンニ 狼少年、目を合わせる。
狼少年 悪いところを直そうとしてるんですけど、うまく行かなくて。
悠祐 ダメでもまた気を取り直して頑張ってみるけど、毎回ダメで
坊っちゃん それでもまだ直そうとしてるのか?
狼少年 許されたいんだもん。
坊っちゃん 何度やってもダメならもう無理だろ。
悠祐 え?
坊っちゃん 世の中頑張っても無理なものもあるんだよ。
悠祐 ならどうしたら…
坊っちゃん もう、それも自分のひとつとして認めてやるんだよ。自分が。
狼少年 自分が…
悠祐 それが難しいんだよなー
坊っちゃん どうしてだ。
悠祐 ダメなところがある自分なんて…
坊っちゃん ダメなところがない人なんかいないだろ。
狼少年 そういわれても…
狼少年と悠祐 座り込む
坊っちゃん わがままだなー。ほらそんな姿勢だから弱気になるんだろ。
坊っちゃんは座り込んだ2人を仁王立ちにさせ、胸を張らす。
狼少年 姿勢なんて関係あるんですか?
坊っちゃん あるよ!こうやって胸を張ってこう叫ぶんだよ。
坊っちゃん、目立つ場所に仁王立ちをし、腰に手を当て
叫ぶんでみせる。
坊っちゃん ハッハッハー!俺は俺で何が悪い!俺は正しい!…
ほらお前らも。ハッハッハー!……ほら!ハッハッハー!
狼・悠 (戸惑いながら)ハッハッハ
《つづく》
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