眠る重機

<眠る重機>
濃い朝霧の奥に黄色い重機が佇む
昨日の仕事を終えたままの姿で
腕を高く掲げ爪は地面に降ろして眠っている
近隣に地震のような波動を送り
残った巨木の切り株を掘り起こす
二百年前の石碑や地蔵小屋が出てきても
根株と一緒にダンプに放り上げる
暴力のような鉄塊に感傷はない
指令のままに土を乱して更地を作る
竹の地下茎も山百合の球根もすべて空に放り上げ
お前はクズだと言い放つ
それが黄色い重機の仕事
何を悔やむというのだ
人の見捨てた土地を作り変え
別の誰かの喜び悲しみを吸い取る場所を作るのだ
濃い朝霧の底に黄色い重機は眠っている
今日の指令を待つために
働いて働いて土中のクズを追い出すために

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