公立高校は大丈夫か?
公立高校の定員割れが全国に広がっているようです。
大阪府では昨年の入試では半分以上が定員割れを起こしています1)。。
鹿児島県では公立高68校中58校が定員割れを起こしたそうです2)。
それに比べて通信制高校は年々増えつつけています。
特に私立の通信制高校の数は、2000年に44校だったものが、2023年には211校と4.8倍に増えています(文部科学省学校基本調査)。
東京都では、2018年度から2023年度の5年間で私立の通信制高校を第一希望とする生徒がおおよそ倍増しています(前掲、ダイヤモンド教育ラボ)。
私立の通信制高校は学校数も、生徒数も急増しているのです。
もはや、かつてのように「通信制高校」は不登校の子が通う学校というイメージは払拭されたといっていいでしょう。
不登校の中学生が増えているとはいえ、全体の6%ほどです。
仮にその6%の子どもたちが全員通信制に進学したとしても、「12人に1人」(約8%)には届きません。
つまり、中学校に毎日通っていた生徒が通信制に魅力を感じて進学しているのです。
自分の子どもが通信制を選んだ人に聞いたところ、今の通信制高校(特に私立)には、多くの魅力があるそうです。
まず、ユニークな学科が多いこと、そして、何より自分の時間が確保できることが大きな魅力なのです。
全日制の学校では、一日の大半の時間を拘束されます。
ところが通信制だと、アルバイトもできるし、自分の興味のあることにたっぷり時間をかけることもできます。
中学時代の学力や出席日数に関わらず、積極的に通信制を選択しているのです。
これは私見ですが、このような傾向を支えているのは自分の人生を自分らしく生きたいという価値観が社会に広がったことに加えて、公立高校がこれまで不登校の生徒に対してあまりに無配慮であったためではないかと思います。
調査書の点数(評定)を入試の合否判定に用い、事実上不登校の子どもたちを公立高校の入試から排除してきた、そのあり方が自らの身に降りかかってきたのではないかと思うのです。
これまで教育の世界にまったく関わってこなかった企業が、教育の世界を席巻しようとしていることが今後の日本の教育にどのような影響を及ぼすかはわかりません。
でも、公立高校がどこまで生徒の視点で学校経営をしてきたか、そこは謙虚に反省すべきだろうと思います。
1)「義務教育の出口を変える『高校入試改革に挑む』 大阪府・水野教育長」2024年7月4日付 教育新聞デジタル
2)「鹿児島県現職校長も嘆く『特色ない金太郎アメのような学校では…』 公立高68校中58校が“定員割れ” 一方で高まる私学人気、10年間で26→34%に増 県教委は統廃合に慎重姿勢」2024年8月8日付 南日本新聞
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