いとしさとせつなさとつぶあんかこしあんか~本日旅立った伯父さんへ~
特技は目を開けたままくしゃみができます。
リンドウと申します。
先日、愛猫が亡くなってから1年が経ちました。その日を迎えた気持ちを書き綴ろうと思っていたのですが本日の明け方、母の兄・伯父さんが亡くなりました。生涯独身おそらく70歳前半です。少し伯父について書きたくなったのでつづります。
伯父はそこそこ女性の影はあったものの生涯独身で、祖父母と同居。
地元の教習所の先生をしており親戚の子供たちからは「先生」と呼ばれていました。
毎日原付バイクで通い、定年まで勤め上げその後は相続した祖父母の家で犬と暮らしていました。その犬は甲斐犬という種類のとっても賢くたくましい犬でした。(狩猟犬なのでしょうか?詳しくはないのですが……)
伯父の人のいいエピソードの代表がこの甲斐犬との出会いです。
昔から犬や鶏を飼っていた祖父母でしたが亡くなってから伯父1人になったときには動物は何も飼っていませんでした。
そんな時、近所の居酒屋で隣り合わせた甲斐犬のブリーダーが「血統はいいけれど歯並びが悪い犬がいる、処分に困っているから飼わないか?」と言ってきたそうです。
伯父は二つ返事で「俺犬好きだからいいよ」といったまさか翌日、軽トラに乗って1歳くらいの立派なトラ毛の甲斐犬がやってきたのです。
歯並びが悪いといって厄介払いしたブリーダーを本当に許せませんが、伯父は犬が来たことに喜び「犬すきだよって言ったらまさか翌日に来るとは思わなかった」と笑っていました。甲斐犬はとてもかわいらしく、甘えん坊で人によくなつきました。逆にほかの犬、特に小型犬を見つけると襲おうとする大変旺盛な犬でした(飼い主のガードにより犯罪歴なし)
その後、たびたび種付けだけさせろとブリーダーが雌犬を連れてきたそうで、そこは怒って追い返せと思うところですが
伯父はまた二つ返事で了解し今や何頭もの立派な子供が生まれているそうです。のんきに「種付けが上手だったよ」なんていうものですから姪の私も肩透かしでした。
また、伯父は中卒ですが地頭がとてもよく独学で宅建や調理師免許など国家資格をたくさん取得していました。本当にすごいと思います。
齢70にして大学へ短期間通うことになった伯父ですが(すごい!)コロナのせいで授業がオンラインしかやっておらず、タブレットの使い方を教えに久しぶりに会った伯父は若々しくやっぱり朗らかな印象でした。
甲斐犬も私のことはすっかり忘れていたものの、飼い主に似て優しい犬だったのでしっぱが飛んでいくんじゃないかと思うくらい大いに歓迎してくれたのはとても嬉しかったです。
おととし、その甲斐犬が亡くなりました。
17歳でした。
甲斐犬としては長生きな方らしいです。
その1年後、伯父の体に異変が起こり入退院を繰り返し本日2024年11月3日、夜も明けない時間に病院で息を引き取ったそうです。
母から伯父が入院したと聞いていたのですが私は季節の変わり目、気温差でまんまと喉風邪を引いてしまいました。
咳込んでいてはお見舞いに行けないなと判断した翌日のことです。
母は伯父と仲が良く、ちょこちょこお見舞いに行っては伯父の家の掃除などをしていました。家族を持たなかった伯父にとって妹の存在は大きかったようで昨日の面会の別れ際「もう帰るのか?泊って行けよ」と笑っていたそうでそれが母と伯父の最後の言葉でした。
昨日、食事もまともにとれない状態の伯父が「小豆が食べたい」と言っていたらしいので、さっき近所で買ってきました。
だけれども、伯父の好みはこしあんなのかつぶあんなのか。
正確な歳だって知らない。そんな関係性だったけれど、こうやってキーボードを打ちながら涙と鼻水を垂らすくらい心は震えています。
こしあんとつぶあんどっちが好みかわかんないから両方買ってきたと言ったらきっと
「お前らしいね」と笑ってくれるでしょう。
ああ今日も憎たらしいほどの晴天。
心地よい秋の風が吹いています。