永遠のジャック&ベティ
この本の誕生した秘密 ③
上の写真はこの本がフレドリック・L・
ショット氏による翻訳本のようですが、
いくらパソコンで検索してもアクセス
できなくて残念な気がします。
●ただ、清水氏の原本の「あとがき」に
よると、フリーの女性編集者の薦めで、
「あのジャック& ベティも生きていれ
ばもう50歳なんですけど…」と、話を
もちこんでくれたことから出来上がっ
た、と述懐されていることから、偶然
書き上げた作品だということがわかり
ます。
●この短編を読むと、若い人はともかく、
高齢者の多くの人はこの「ジャック&
ベティ」の名前を聞いただけで、長らく
心の奥底に眠っていた、あの中学時代
の経験が鮮やかによみがってくるので
はないでしょうか。
●それは英語が得意な人も、そうでない
人でも関係なく、同じようにこの英語
の本を通じて、間接的にアメリカの
生活や文化に触れることができたから
です。
●英顔好きな生徒はますますのめり込ん
でいったでしょうが、英語嫌いな生徒、
特に悪ガキどもはべティがまるでアイ
ドルのような存在で、授業中も彼女の
颯爽(さっそう)としたイラストを眺
めているだけで幸せでした。
ジャック&ベティの内容
●そんなボンクラ連中は、テキストの
中味などを覚えているはずがありませ
ん。今になってもう少しちゃんとやっ
ていれば、よかったと反省しても、
もう「後悔先に立たず」というところ
です。
●ところが、ネットで検索してみると、
「戦後の中学校校英語教科書の調査
分析的研究」(星槎大学:伊藤嘉一、
東京学芸大学:馬場哲生、桜美林大学:
長谷川淳一)という共同研究があり、
その中に、テキストの中味が一覧に
なっているのを見て、何かグッと胸に
こみ上げてくるものがありました。
●今その内容を引用させていただきま
すが、テキストは、開隆堂出版の昭和
23年(1948) 発行の1年の本の目次です。
【目次】
1.I am a boy. I am Jack Jones.
2.You are a girl. You are Betty Smith.
3.My pen and your pencil.
4.I am a school boy and you are a
school girl.
5.Things in the classroom.
6.The school and the teachers
7.Families
8.Parents
9.Brothers and sisters
10.I have a bicycle.
11.In the room
12.In the garden
13.Betty at Jack’s home.
14.Betty meets Jack’s father.
15. Daily life
16.Telling the time
17.Father’s occupation
18.Age
19.I can swim and you can cook.
20.Pets
21.Houses
22.Christmas
23.The school
24.School subjects
25.Four seasons
26. The days of the week
27. At tea
28. Before breakfast
29.Skating
30.In the classroom
●どうでしょうか。きっと懐かしいと思
われたでしょうね。こんな単純な内容だ
ったとは、今更ながら驚きました。今で
あれば、小学生英語のレベルより少し上
ぐらいの程度でしょうか。
目次を見ても思い出せない記憶
●この目次を見て、その内容を覚えている
人は、よほど英語が得意だったのでしょう
ね。ボクなどは皆目見当がつきません。
●今、英語を勉強するのであれば、もう
少しましだったかも知れませんが。それ
にしても、今の英語教科書に比べると、
あまり変化のなさそうな内容で、面白み
のなことが想像できます。
●なにしろ、一般動詞が少なく、せいぜい
have, meets, Telling, can swim, Skating
など数えるほど上げてかなく、Be動詞の
単数形や複数形、否定形や疑問形ばかり
やらされた記憶しかありません。しかも、
canという助動詞にいたっては、19課に
やっと出てくる始末で、これでは教える
先生も大変だったろうとご同情申し上げ
る次第です。
アナミズ (2024.01.29)