100倍、身につく国語力 (16)
『コボちゃん』で短編の創作練習 ④
(4) バスの運転手ごっこ ④
①課題四コマ
② 創作スト-リー
ある日、コボちゃんは、部屋で紙ヒコ
ーキを飛ばしていた。紙ヒコーキはコボ
ちゃんの趣味で、いろんな物を作ること
ができる。
コボちゃんは、もともと折り紙が好き
で、一人でなんでも作ってしまう。しか
し、折り紙では、小さなヒコーキしか作
れなかった。
そこで、新しく画用紙で作ってみる
ことにした。これを使うとサイズが大き
くなるので、遠くまで飛ばすことができ
る。たとえば、グライダーやジェット
戦闘機、ジャンボジェットなどは、部屋
から庭まで飛ばすことができる。
ところで、コボちゃんは、おじいちゃ
んと一緒ンに一週間前に作ったピストル
型の発射台を持っていた。
それは、割りばしの先につけた輪ゴムを
手前に引っぱり、それにヒコーキの先を
かけるしかけだった、引っぱった輪ゴム
をパッとはなすと、勢いよく飛び出す
わけだ。
この発射台ができてから、コボちゃん
は、毎日のように紙ヒコーキ遊びをやっ
ている。しかし、あまりやりすぎて輪ゴ
ムが切れてしまったため、おじいちゃん
に直してもらうことになった。
「おじいちゃん、輪ゴム切れ
ちゃった」
「一人で、直せるだろう?」
「ううん、直せない!」
「じゃ、直してやろうか」
「ありがとう」
「ボンドと輪ゴムを用意しなく
ちゃ」
「わかった、ママにもらって
くる」
コボちゃんは、勢いよく部屋を飛び出
して、台所へ行った。台所ではママがご
飯の用意をしていた。
台所からもどって来たコボちゃんは、
ボンドと輪ゴムのほかに、モナカを手に
していた。
「はい、おじいちゃん、これ」
「おお、モナカか」
おじいちゃんは、うれしそうな顔をし
た。甘いものに目がないのだ。だから、
おはぎやようかんも大好きだ。コボちゃ
」んも、いっしょに食べたがるので、
ときどきママにしかられてしまう。
しかし、きょうはだいじょうぶだ。
おじいちゃんに直してもらって、発射
台はすっかり丈夫になった。コボちゃん
は、楽しくなって連続的に戦闘機を飛ば
していた。そのうち、一つが左に曲がっ
てふすまに突き刺さってしまった。
(あっ、どうしよう、やぶれたかも)
あわててヒコーキを抜こうとして、手
もとが狂ったからたまらない。発射台
ピストルを持っていた手が、思いっ切り
ふすまにぶつかった。ふすまは「ベリッ!」
という音を立てて、大きな穴が開いてし
まった。
「どうしょう、どうしょう」
あまりにも突然の出来事だったので、
コボちゃんはすっかりあわててしまっ
た。
はやく穴を隠さなければならないので、
ふすまの前で、バスの運転手ごっこをす
ることを思いついた、こうすれば、穴を
ふさぐことができるし、だれも気づかな
いと思った。
ちょうどそのとき、おばあちゃんが
通りかかった。 「
「発車、オーライ、ブッブー」
「あら、コボちゃん、一人で
遊んでるの。えらいわねー」
(バレなかった、ホッ)
次に、おじいちゃんが通りかかった。
「揺れますから、ご注意いくだ
さい。ブッブー」
「ホー、一人で遊んでいるのか。
えらいぞ」
(こんどもバレなかった、ホッ)
最後にパパとママが通りかかった。
「次は、北町一丁目でーす」
「もうお兄ちゃんですもんねー」
(なんとか、バレなかった。ホッ)
「そのうち、見つかっちゃうなー」
と、コボちゃんは独言(ひとりごと)を
言った。確かに今はだれも気づかなかっ
たけれど、いずれは見つかってしまう。
コボちゃんは今回はふすまの前にイスを
置いてすわり、手にハンドルを持って
本物のバスの運転手のかっこうをした。
だから、家族のだれからも見破られな
かった。
しかし、こういうことが次にもうまく
いくとは限らない。コボちゃんは、どう
しょうかと一生懸命に考えた。しかし、
いい考えが思い浮かばなかった。
こんなときは、アメリカのジョージ・
ワシントン大統領のようにしようと、
ふと思った。ワシントンは、確か子ども
のころ、うっかり桜の木を折ったとき、
素直に謝って許してもらうことができた
という伝説がある。それを見習らって、
コボちゃんも素直に謝ることを決心した。
おわり
❤どうでしょう。コボちゃんはふすまを
破ったのを隠すため、バスの運転手
ごっこを思いついたのは、なかなか
のアイデアではないでしょうか。
アナミズ(2024.02.27)
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