1991年1月23日(水)
【煉瓦亭:多田隈 五月・佐々木 雫・江村 香奈恵】
「どうなるかわからないけどねー」
カルボナーラの最後の一口を食べ終えた後で多田隈 五月はこのように口にした。ここは喫茶店『煉瓦亭』。昼時の時間なので、ランチ目当ての客が数多く訪れている。午前中の鍛錬後にランチを一緒に食べる約束をしていた多田隈、佐々木 雫、江村 香奈恵は鍛錬後に集まって一緒に煉瓦亭を訪れ、昼食を食べていたのである。多田隈が佐々木と江村に相談していたのは、3月以降の体制についてだ。多田隈が所属するスター千一夜舞台は隊長の戦士である鈴木 圭介と副隊長で罠解除士の林 真一郎が4階生で、3月で冒険者を引退予定である。多田隈の1つ目の悩みが、この後の部隊編成だ。現4回生が卒業でいなくなる状況なので、部隊編成を行うのは仕方がないが、また1から人間関係を構築しないといけない。それを自分が上手くできるのか不安である。2つ目の悩みが、菊川 竜二がいなくなることで、多田隈は実質魔術師のNo.2となる。今まで自分は魔術師の業務について菊川さんと藤原さんに任せきりになっていたけど、今後は藤原さんと自分が中心となり業務を行わないといけない。それができるかどうかが不安である。
「うーん、無責任に大丈夫だよ。とは言えない状況だよね。でも五月がいうようにどうなるかはわからないよ」
「今後の状況を見なが何か困ったことが起きたらいつでも相談してくれていいからね」
現段階で多田隈を安心できる方策を思い浮かべることができない佐々木と江村はとりあえず多田隈に対して何かあったら味方になる旨を伝え、とりあえず落ち着くように話をまとめた。