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1991年4月20日(土)

【道:前田 法重・原田 公司・大塚 仁】
「何か今日は集まりが悪いな」
「たまにはいいでしょう」
 乾杯の後で思わず漏らした前田 法重の言葉に、原田 公司が笑いながら返事を返した。ここは居酒屋『道』。土曜日でもあり、たくさんの客が訪れている。本日も土曜日なので15時過ぎぐらいから某サークルRの集会が行われており、前田と原田、大塚 仁も参加している。集会自体にはいつもこの飲み会に参加する富田 剛や谷口 竜一、本田 仁もいたのであるが、現在姿が見えないのである。
「何か谷口は高校の時の友達と飲みに行くと言ってました。富田さんはめいさんじゃないですかね。本田はパチンコ打ちながら寝てるんでしょう」
「富田と本田は許せんな」
 今日飲み会に参加しない理由を谷口から聞いていた大塚が予想を込めた発言をし、それを聞いた前田が少し怒りの声を上げる。高校の友人理由の谷口は仕方がないにしても、富田は多田隈 五月を連れてくれば良いだけの話で、本田の理由はもってのほかなのである。
「お疲れ様ですー」
 噂の本田が『道』の入り口から入ってくる。相変わらずの飄々感が前田を少しイラつかせる。
「遅かったな本田。何してたの?」
 思わず前田が質問してきたので、冷静に本田が返事を返す。
「ちょっとだけパチンコ打ってました」
 こう言いながら本田はいつもの自分の特等席にすわり一息ついた。
「で、打ちながら寝てたってわけね」
「何で知ってるんすか、ホワ!」
 先程大塚が予想したことを原田が口にしたのを聞いて本田は驚きの表情で返事を返したのであった。

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