1991年3月25日(月)
【熊大迷宮:黒髪てへろく部隊】
「俺は天才だー。覚えておけ、ふひゃひゃひゃ」
「意外と早かった」
天才が消えていくのを眺めながら前田 法重が言葉を漏らす。ここは熊大迷宮地下2階。本日も天才と戦うべく天才の部屋へやってきた黒髪てへろく部隊であったが、天才に5勝して6回目の召喚でついに天才が戦うのを嫌がったのである。
「香織さん。おめー」
天才が消滅したのに気づいた多田隈 五月が牛嶋に駆け寄り両手を握ってビョンビョンしている。それを見て牛嶋 香織も笑顔を浮かべてはいるが、天才と5戦した後なので、かなり疲労困憊状態である。
「さて、これで心置きなく地下3階に降りれるな」
「まあ、今日は無理でしょうけどね」
前田の言葉に原田 公司が言葉を続け、牛嶋の疲労度を目の当たりにしている村田 健と富田 剛も同意の表情を浮かべている。
「では撤収」
前田のこの一言で、部隊は出口に向かって歩を進める。この後迷宮を後にし、『煉瓦亭』で昼食を取ったが、本日は前田の奢りであった。