1990年12月11日(火)
【煉瓦亭:多田隈 五月・佐々木 雫・江村 香奈恵】
「えー、めいも行きたかったー」
「どうどう、いや、私らも一緒に行きたかったさ」
超不満な表情を浮かべて地団駄を踏みながら叫んでいる多田隈 五月をなだめた後で、佐々木 雫が自分たちの考えを口にした。ここは喫茶店『煉瓦亭』。お昼過ぎの時間であり、いかにもランチタイムという感じの混み方をしている。午前中は鍛錬場で鍛錬を行っていた多田隈と佐々木、江村 香奈恵であるが、本日は一緒にここでランチを食べることを約束していたので、それぞれ集合してきたのである。今年もあと3週間を残すだけの時期となり、年末年始の予定を立てる頃合いになっている。昨年はまだ1回生だったので、大人しく実家に帰った佐々木と江村であったが、今年は別に帰らなくても良くなったので、年末年始に温泉旅行でもと計画を立てていたのである。だが多田隈は実家の店の手伝いをするという理由があるので、長期休暇の期間は実家に帰らないといけないのである。
「仕方ないよ。年明けて後期試験が終わったらどこかのタイミングでプチ旅行計画するから」
「本当?めい絶対行くからね。楽しみー」
元気付けようと江村 香奈恵が説明した言葉を聞いて、しょんぼりしていた多田隈は急に元気になり満面の笑みを浮かべた。この後、機嫌が良くなった多田隈は追加のチョコレートパフェを頼んだので、佐々木と江村もそれに合わせてデザートを1品ずつ頼んだのであった。