1991年2月6日(水)
【煉瓦亭:多田隈 五月・佐々木 雫・江村 香奈恵】
「傷自体は大したことなかったみたい。良かった。」
マスターに3人分のランチを注文した後で多田隈 五月は佐々木 雫と江村 香奈恵に昨日の冒険で隊長の鈴木 圭介が救急車で運ばれたが、症状が軽かったことを報告した。噂を聞いた佐々木が状況を非常に知りたがっていたので、一緒にランチをとることにしたのである。
「大事ないなら良かった。鈴木さんは一緒に鍛錬してくれたりするし、いろいろ気にかけてくれたりもするから少し心配だったの」
安心した表情を浮かべて佐々木がこのように口にする。鈴木のことはあまり知らないが、佐々木の安心した表情を見て江村もなんだかホッとする。
「でも、やっぱり天才ってとても強かった。雫も後々戦うことになると思うから注意してね」
「後々ってまだまだ先だけどね」
そう言ってランチが運ばれてきたので、各々ランチを受け取り、食べ始める。ランチを食べ終えて、少し落ち着いてから佐々木が多田隈に尋ねる。
「ところで五月、彼氏とはうまくやってるの?」
「うーん、どうだろう。遠距離だしね」
なんとも言えない表情を浮かべて質問に答える。多田隈は宮崎出身で、高校2年生の時から付き合っている彼氏がいるが、彼氏は福岡の大学に進学したので、なかなか会うこともままならない。以前佐々木と江村はそのことを相談されていたので、時々思い出したように確認をするようにしているのだ。
「でもまあ遠距離でも気持ちがあれば大丈夫だよ。なんかあったらいつでも相談に乗るからね」
佐々木がこのように口にし、江村も大きく頷いた。