1991年1月30日(水)
【煉瓦亭:村島 楓・神崎 道恵・平山 由美】
「うーん、やっぱり美味しい」
「間違い無いですね」
チョコレートバフェを頬張った村島 楓が発した言葉を聞いて、平山 由美も感想を述べた。ここはお昼過ぎの喫茶店『煉瓦亭』。ランチタイム中ということもあり、店内にはたくさんの客が訪れている。午前中戦士鍛錬場で鍛錬を行った村島と神崎 道恵、平山の3人は、鍛錬後『煉瓦亭』を訪れて、ランチを食べた後の別腹パフェを堪能しているのである。ランチも意外とボリュームがあるが、パフェも軽く食べれるのは戦士だからというのもあるかもしれない。
「ところで何か面白いことない?」
「面白いことですか、ないですね」
口癖というほどでもないが、良く口にするフレーズを村島が発現し、それに平山が軽く返事を返す。3人とも冒険者で熊大生なので、午前中は冒険者活動を行い、午後は大学の講義があれば受講する。毎日変わり映えのない生活なので、特に面白いことが起こるようなことはないのである
「えー、何かないの?ロマンス的な」
「あー、ロマンスね。無いかな」
面白い話を欲している村島が再度催促したが、それに神崎が苦笑しながら残念な返事を返す。これを聞いて平山も軽く首を縦に振って同意した。
「もしかして楓はあるとか?」
おそらく違うとは思いながらも神崎が質問を返してみる。これを聞いて大きなため息をついた後で村島が口を開く。
「誰かー私にーグッドルッキングボーイをー紹介してー♪」
何やら良くわからない歌を歌いながら寂しい表情を浮かべているのを見て、神崎と平山は顔を見合わせて軽くため息を吐くのであった。