菊尽くし
先月、友人とお寺さんでのお茶会に行ってきた。
菊を模した練り切りのお菓子に、お道具も皆、菊の模様があしらわれていて、『菊尽くし』のお茶会だ。
お花は籠にたくさん入っていて、私には、紅白の水引にお祝いの気持ちが表れているようで好ましかった。
以前、初夏に5回コースであった、市民講座の茶道教室に参加したことがあった。
初めは、最後までお着物を着て、お稽古を続けるつもりでいた。
だが、あと1回のところで、体調不良のため行けなくなってしまった。
応援してくださった方がいらっしゃるのに、申し訳ない気持ちがあったが、この夏の暑さの中、お着物を着てお稽古に通うのは、私には無理があったようだ。
情けないことに、その日は頑張れても、次の日はずっと寝ていることになった。
最後まで…とも思ったが、その時まで身体がもたなかった。
この夏の暑さが少しやわらいだ頃に、友人がお茶会に誘ってくださった。
こんなふうにたまに出かけるのはいい。
寺院での時間はゆったりと流れていて、お点前には、袴姿の若い青年が出てきた。
中学生だそうで驚いたが、小3の時に子ども茶道教室に参加して以来、お茶を続けているそうだ。
袴は本人の希望で誂えたものだそうで、緊張はしているものの姿勢がよく、一つ一つの所作が綺麗だ。
自然と、以前、先生のお手伝いで、中学生に茶道を教えていたことを思い出す。
初めて茶道に触れる子供たちだから、いい加減なことになってはいけない。と、自分でも先生のところへ習いに行ったりして、どんどんのめり込んでいった。
自分にもまわりにも厳しかったのかもしれないが、今となってはすべていい思い出だ。
こんな子たちが増えれば、日本の伝統文化の未来も明るいだろうな。
ぼんやりとそんなことを思いながら、私は袴姿の中学生のお点前に見入っていた。
帰り際、寺院の玄関のところで、以前のお茶の会で一緒だった人たちと鉢合わせになった。
以前なら、もしまたお会いすることがあったら…と、なんとも落ち着かない気持ちがあったが、意外にも落ち着いてご挨拶できた。
もう大丈夫…
私は私の中のハードルを一つ越えて、前に進んでいける。
もう二度とお茶はしない。と決めて、やめてしまったけれど、そんなに肩肘張らなくていい。
お茶のことを思うと、一緒に辛いことも思い出されて、崩れてしまいそうな私はもういない。
こんな形でも関わることができたら、とも思う。
でもまず体力をつけて
そうして、私は寺院をあとにした。