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【音楽コラム】名作アルバム👉プレイリストに編集してみた ~大純はるのメンバーシップ【白鳩会】「In Your Headphone 最近聞いてる音楽掲示板」より
現代人は忙しい。
ちまたには消化しきれないほどのコンテンツが溢れ返っています。
故プリンスは、生前既に、
「アルバムって憶えてる?…」とつぶやいていましたが、
今の時代、既に音楽アルバムというフォーマット自体が、
過去のものになっているのかもしれません。
では、それに代わるものは何か?
ずばり「プレイリスト」でしょう!
長さも基本自由。
BGM的に、たくさん曲を並べた長いプレイリストが
世の中的には多いみたいですが。
曲数を絞って短くすることで、何度も快適に聴ける
プレイリストだって作れます。
そもそも「アルバム」というフォーマット。
LP両面からCDに時代が移り変わり、最大収録時間は
74分強に。
それをめいっぱい使った作品も多かったですが、
全部の瞬間が素晴らしく欠かせない、というのは、
ほとんど物理的に無理だった気がします。
というわけで。
過去の名作アルバムを、この令和の日常の中に甦らせるのは、
ずばり「プレイリスト」でしょう!
👇はどれも、私が普段聴いているプレイリストです。
それではどうぞ~
① 『Screamadelica』Primal Scream
1. Damaged
2. Slip Inside This House
3. Don't Fight It, Feel It
4. Higher Than the Sun (Higher Than the Orb Mix)
5. Inner Flight
6. I'm Comin' Down
7. Higher Than the Sun (A Dub Symphony in Two Parts)
8. Shine Like Stars
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U.K.ロックとアシッドハウス、ダブを融合した90年代の名盤。
陽と陰、アッパーとダウナーorチルの要素があると思いますが、どっちかと言えば、静謐な音響とリフレインがこのアルバムの核心だと思えます。
そういう意味では、明らかにアッパーな楽曲は、自分にとってこの作品を楽しむ上で邪魔でした。
というわけで、むしろ代表曲に数えられる「Movin' on Up」「Come Together」「Loaded」のハイな3曲をオミット。
そして特級のメランコリーを醸し出すアコースティックな「Damaged」を先頭に置くことで、このプレイリストを聴く気分が決定されます。
押しつけがましい明るさに搔き乱されることなく、ゆったりと落ち着いて音響に身を委ねたいとき。
ぜひお試しください。
➁ 『Hopes And Fears』Keane
1. Somewhere Only We Know
2. Bend And Break
3. Everybody's Changing
4. Your Eyes Open
5. This Is The Last Time
6. She Has No Time
7. Can't Stop Now
8. Untitled 1
9. Bedshaped
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ピアノ、ドラムス、ヴォーカルだけの3ピースU.K.バンド。
彼らのバックグラウンドやストーリーはあまりよく知らないのですが、このデビュー作『Hopes And Fears』は傑作。
U.K.1位のセールスも記録していたと思います。
ただしその後、長くヒット曲を出していくようなバンドにはならなかったようです。あまり知りませんが…
全体通して聴いても悪くありませんが、CDの悪癖でやや冗長なのも事実。
特に悲劇ぶったマイナーコードのバラードがどれも似通っているので、「We Might as Well Be Strangers」などをオミット。
そして明るくウェルメイドな楽曲をそれらの間に散りばめ、短く聴きやすくしました。
「Untitled 1」は、インタールード的なナンバーですが、ラストを飾る名曲「Bedshaped」への流れが秀逸なので残しました。
自分でも飽きずに何度も聴けているプレイリストです!
➂ 『Machina/The Machines of God』The Smashing Pumpkins
1. Age of Innocence
2. The Everlasting Gaze
3. Raindrops + Sunshowers
4. Stand Inside Your Love
5. I of the Mourning
6. Try, Try, Try
7. With Every Light
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今聴くと、スマパンの中では最後の輝きだったと思える『Machina/The Machines of God』。
その割には評価もセールスも低めで驚くのですが、端的に言うと、これもCDの弊害で、「いらない曲があまりに多すぎる」ということが言えます。
まあ、『メロンコリーそして終わりのない悲しみ』という、二枚組なのにいらない曲がほとんどない大傑作を作ってしまったので、あれこれ詰め込む癖が抜けなかったのは仕方ないかもですね…
実際、今作に収録された全16曲中、本当に残して聴きたいのは上の7曲だけだと思います。
「The Everlasting Gaze」は実際リード曲だと思うので、一曲目でもいいんですが、落ち着いてプレイリストを聴き始める時に、いきなりガチャガチャやり始められるとしんどい。
なのでこの作品の象徴的な「Age of Innocence」を先頭に置きました。
あとはほぼ順番通りなんですが、「Try, Try, Try」からラストの「With Every Light」までほぼ全部カットです。
ただそのぶん、残った7曲はどれも素晴らしく、珠玉の作品だと言えます。
そもそも本作は、「メロンコリー~」に散りばめられた要素を再構成し、音質やクオリティ感を上げたものになっています。
それでもあまり評価されなかったのは、自己言及的な歌詞とビリー・コーガンの歌い方がどこかやさぐれており、ヒットしないことに対する苛立ちや言い訳を感じさせるところがあったからかな…なんて思っています。
④ 『SONGS OF EXPERIENCE』U2
1. Love Is All We Have Left
2. You’re The Best Thing About Me
3. Get out of Your Own Way
4. The Little Things That Give You Away
5. Love Is Bigger Than Anything in Its Way
6. 13 (There is a Light)
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『SONGS OF EXPERIENCE』は、現状U2の最後の傑作です。
それは間違いないのですが、プレイリストとして編集すると6曲しか残りませんでした。
これはむしろ、アルバム全体として聴いてもいいし、ダイジェスト版としてプレイリストにしてもいい、ということだと思います(たぶん…)。
全体として、耳新しくて素晴らしい楽曲と、強いて残すまでもない既視感のある楽曲が、はっきり分かれているような気はします。
特にアルバムの5曲目から8曲目は、別になくても誰も困らないという感じだし、10曲目と11曲目に至っては、何度も聴いているはずなのに、どんなだったか今一つ思い出せません。
ただし、プレイリストに残した6つはどれも素晴らしく、U2の中でも名曲の部類に入ると思います。
あとここだけの話、離婚前後の時期に聴くとメチャクチャ染みるでしょう。
ジャケット写真やタイトルを見ても、この作品が言いたいのは、そういうことなんだと思います。
➄『Adore』The Smashing Pumpkins
1. Once Upon A time
2. Appels + Oranjes
3. The Tale of Dusty and Pistol Pete
4. Annie-Dog
5. Shame
6. Behold! The Night Mare
7. For Martha
8. Perfect
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このアルバムがどういうものだったかについては、こちら👇で語り尽くしています。
なのでプレイリストについてだけ書きますと、まず一番ほっこりした雰囲気を持つ「Once Upon A time」を先頭に。
(母親の死を描いてるんですけどね…)
あとは、ひたすら長くておどろおどろしい、ゴステクノな楽曲群をとにかく排除。
それでもこれだけの曲数が残りました。
そしてほっこりアコースティック系だけどあまりにも地味なシングル「Perfect」を、ケーキのイチゴのように最後に。
これで安心して聴ける、静かだけどちょっとひねくれた楽曲のプレイリストが出来上がりました。
夜、ひとりでゆったり聴くのにもおすすめです。
いかがでしたでしょうか。
「アルバム」という括りで考えると、今の時代じいっと聴き続けるのはしんどい。
だけどその中にも、埋もれてしまいそうな宝石はたくさんあります。
プレイリストという形で、そういった「おいしいところ」だけを残していくことができれば、我々にとってもアーティストにとってもいいんじゃないかな、なんて思っております。
それではまた~
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