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直観と抽象化②

~心理機能Niと細谷功氏の著書をヒントに~                  



前回の記事では、細谷功氏の著書、見えないものを見る「抽象の目」「具体の谷」からの脱出を参考に、見えないものを抽象化概念と位置付ける考え方をベースに、抽象化とは、区別すること(カテゴリ化)、関連付け(タグ付け)をすることであると述べました。そして、ユングによる心理機能の内向的直観(Ni)は、この抽象化メカニズムにより構成されていることを述べました。                         

細谷氏の著書に書いてあることをもう少しつまみながら直観と抽象化について更に書き進めてゆきたいと思います。                 

■抽象化の作用あれこれ

おさらいになりますが、抽象化とは、具体的なコトやモノを区別したり、異なるモノ同士を繋げたり、それをひとまとめにする作業です。例えば、犬・猫・ウサギ、ネズミをひとまとめにすると「哺乳類」、さらに、それの次元を上げると「動物」となります。繋げたものをひとまとめにくくることは、次元を上げることであり、新しい価値や意味、概念を生み出すことにつながります。

これら抽象化作業において、コトやモノを「時間」という線で繋ぎ合わせると経時的変化を把握することで、因果関係が成立します。因果関係の効果、効能は、これから起きることの予測が出来るようになることです。                      

■INFJとINTJの主機能Niの本分は抽象化である              

ところで、16タイプ性格診断テストのINFJとINTJは主機能がNiです。Ni主機能者は、洞察や背景を探ったり、見通しをつけることが得意だとされています。その理由は、突き詰めるとNiの機能の本分が抽象化であるためと考えます。Niに限らず外向的直観Neもまた同様です。「直観」或いは「ひらめき」と呼ばれるものは、無意識のうちに複数の事象を関連づけ、異なる意味や新たな価値を創造することにあるわけで、この過程はまさしく抽象化の成り立ちと同一です。               

■関係と法則

また、関係性と法則について、次のように言い表すことも可能です。例えば
具体的事象を「時間」という線で繋げれば「因果関係」と表せるように、「人✕力」という線で繋げれば、主従関係、依存関係とも言えるでしょう。はたまた、「エネルギー」という線で繋げれば、循環関係、補完関係が成立します。目に見えない関係性を見出すことは、人類の発展にも大きく貢献しており、科学の歴史で次々と発見された「法則」も、また、このような関係づけの最たるものなのだそうです。(さすがに法則にまで発展すると頭に疑問符がぐるぐるしますけど…)                          

■抽象次元の階層化                             

その他、著者によると、目には見えない抽象の世界にも実はいくつかの次元があるそうです。以下に、本文からキーワードとなる箇所を一部抜粋してみました。    
                  
【抽象世界における0次元】
点の世界観であり、有りか無しかの二項次元の概念世界。例えば、お金が有るか無いかの10か0かの単純な思考。              
                  
【抽象世界における1次元】                           
線の世界であり、座標軸の二次元な概念世界。これは、座標軸上の移動を表し、物事のプラスかマイナス、比較、優劣の思考世界を指す。          
  
【抽象世界におけるN次元】                         
複数の座標から成る多面、立体の三次元的な概念世界。これらは多様性や個別性を表し、これらの組み合わせによる複雑な思考世界を指す。例えば、物事に価値を付けたり、判断するにあたって、多様な価値観が有ること、判断に際しては複数の捉え方、物差しが有ることを理解し、多様性や個別性に基づいてその世界観を受け入れること。                 
                    
【抽象世界における無限次元】                           
未だ見えていない次元や更に高次の次元が存在するのではないか、という視点で物事を捉えてゆく概念世界。ある物事に対して安直に判断するのではなく、あらゆる可能性を考えたり、疑問を持ち続ける姿勢を保持する。

つまり、新たな意味を生み出したり、これまでと異なる価値を作り出すには、より高い視点から世界全体を捉えることが必要であり、この世界を大きく捉える行為そのものが抽象化にあたるものだと言えます。  

■直観と抽象化、NeとNi   

そして、この、世界の可能性を広げるべく、空間的にどんどん拡大させてゆく視点を持つ直観の働かせ方を、外向的直観(Ne)だと言えるのではないかと私は考えます。Neのキーワードでブレインストーミング、イノベーション、図形的考え、といったワードが挙げられる点からも、ひらめきと空間的拡がりがマッチしているように感じます。                                                             

他方、世界の捉え方を、時間軸をもって、過去から現在、未来(その逆方向も然り)と時間的な視点を用いた直感の働かせ方を、内向的直観(Ni)であると言い表すこともまた出来るのではないかと私は考えます。Niのキーワードが、根源、因果関係、ビジョン、シュミレーションといった文言からも、Niが時間の概念との親和性が高いことが伺えます。                 

■直観の本質                           

同じ話の繰り返しとなりますが、細谷功氏の著書をもとに、自分なりに考えを練り上げた結果、直観の本質は以下の3点に絞り込めるかなと思います。                              
①直観とは抽象化の概念、構造、であること                         
②新しい意味や価値を作り出すこと 
③あらゆることに疑問を持ち、可能性を探ること→抽象世界の無限次元
                 

脈絡のない話の寄せ集めになってしまいましたが、自分なりの直観や抽象化に関する構想をまとめてみました。上手く伝えられていませんが、細谷功氏の著書は「直観」をどうにか理屈で理解したい方にはとてもオススメで、考えるヒントがたくさん隠れているような気がします。直観や心理機能について、わかりやすい説明や例えが出来るよう、様々な本を読んだり、記事に目を通して、色々と肉付けしてゆきたいと思っています。

以上、お目通しをいただき有難うございました。


                     

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