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INTJの核 ⑤静謐と熱誠の葛藤と統合

MBTIの16タイプには各タイプの決め手となる「核」といえる構成要素が存在するはずだ。その要素はタイプに記された4つの審理機能の配列から導き出され、そのタイプに象徴される特性を鮮やかにあぶりだすことであろう。   

以下はINTJ自認の私が独断で考える「INTJの5つの構成要素」である。            

①抽象性
②自律性
③固有性
④目標遂行性
⑤静謐と熱誠の葛藤と統合                                  

最後の5つ目の要素について。気付けば前4回のシリーズのまとめのような色合いになった。マガジンにひとまとめにしたのでよろしければそちらにもお目通しをいただけると大変有難い。                                                                               


■静謐と熱誠の葛藤と統合

INTJの内面で果てなく繰り広げられる葛藤は、先述の抽象性、固有性、自律性という3つの核、特徴によるものだと推測している。葛藤の過程は5つのステップに分解できる。             

■ステップその1 葛藤の要因 INTJの抽象性

まず、INTJの主機能であるNiの働きを端的に言えば「抽象化」である。抽象化とは、異なる事物たちを分割したり、一括りにしたり、繋ぎ合わせて関係づけてみたりする知覚の仕方、思考の働かせ方を指す。おおよそだが。

Niを主機能に持つ人は、この抽象化作業を年がら年中、自動的に働かせている。常に考え事をしている、物事の背景や裏側、因果関係を探っている、という傾向がそれに該当するだろう。頭をフル回転させ過ぎてオーバーヒートする感覚も有しているのではないだろうか。                      

抽象化作業は、物事を多面的に捉えたり、メタ認知、俯瞰的視座を用いるため、物事の両極を見たり、ひとつのコトにも複数の価値や意味合いを見出す。また、異なる意見から共通項を拾い出しひとつの結論へと導き出すことも抽象化作業のひとつである。                            

抽象化を進めると「相容れぬもの」を自分のなかに生み出す。そして結果的に相容れぬもの同士を自分の内面に同居させるという「矛盾の種」を孕むことになる。こうしてINTJは第一の葛藤の種を無意識領域のうちに宿すのである。          

■ステップその2 葛藤の要因 INTJの固有性と熱誠さ 

次に、心の内面で葛藤を強くたぎらせる燃料としてINTJのもつ「固有性」が関与している。

INTJは上記のような相反する現実的状況においてもなお、いや相反しているからこそ自分のなかで「これは❕」という価値や意味を求め、選び取りたい欲求に駆られる。第三機能のFi、内向感情と判断型「J」が強く表れるところであり、INTJは異なる価値、概念を曖昧なままに保留、先延ばしをすることが得意ではない。決定して前に進みたいのだ。前に進むには、決定し具体化させ次の認識、行動へと落とし込む必要がある。この欲求がINTJの「熱誠」にあたるところだと私は考えている。

時にそれは他者を押し退けても決定したく、実行したくなる。一直線に、駆け引き無しで。ちなみに、INTJは問題解決や人間関係(恋愛関係)においても、駆け引きを楽しんだり、わざと相手を試すような振る舞いを本質的に好まないと思う。INTJからすると、それらの行為は迂回的かつ非合理で、的を外しているものと捉える。つまり、そうゆうものは極端に言うと嘘、まやかしであり、興味関心を惹かれるものではないし、貴重な時間、エネルギーを割くことに価値を見出せない。                                 

■ステップその3 葛藤の要因 INTJの自律性と静謐さ             

Niによる抽象化作業とFiによる固有性を見出す心の動きのなかで、INTJは時々のテーマに対して深い内省が働く。このとき、INTJは冷静さ、客観的視座を保つことに努めながら、物事の本質、原点に立ち還ろうとしたり、全体から部分(テーマ)を捉え直そうと試みる。内面で時空を操作することで物事の新たな側面に注意を向けたり、解決方法を探ろうと懸命になる。思索にふけながら無意識の海からNiを掴もうとする姿を他者は一人を好む物静かな人という評価を与えるだろう。

だが、その一方でINTJの内部においては非常に強い熱誠が活動している。そのため、それを抑え込む外装は「静謐」という少々過剰で特異な様として周囲の目には映るかもしれない。熱誠さに駆られて自分を見失い過ちを踏んだり、他者へその様を見透かされることを激しく恐れるINTJは、自律性をもって外面に表れないようそれを抑え込む。

INTJの「静謐さ」とは、安らかさや穏やかさ、もしくは無垢なしとやかさ、などでは決してなく情熱の制御から派生する違和なのである。                

■ステップその4 INTJのもつ2種類の葛藤

深い内省によるブレーキをかけることで、物事の遂行に俄然、戦略性が帯びてくる。そして、一直線にコトを進めたいアクセルと、根回し、懐柔といった手法をも含む戦略という名のブレーキを自ら併用することになる。熱誠さと静謐さ。これが第二の意識領域で発生する葛藤であり、車の運転と同様、このアクセルブレーキの操作性がINTJの現実適応やコンディション維持に影響するのだと推測する。      

そして、先述の抽象性に宿る第一の葛藤と、固有性と自律性という相反する概念のうえに展開される第二の葛藤。この二種類の葛藤がINTJのパーソナリティを一面的に捉えきれない複雑なものに遂げさせるのである。                   

また、INTJはこれらの葛藤状況において基本的に他者に助言や支援を求めようとしない。冒頭に記したとおり、ひとりで葛藤(=悶着)を繰り広げ解決へ導こうとする「ひとり悶着」に陥る。(ところでもんちゃくっておでん種っぽい。もち+きんちゃく→餅巾着か?コンビニのレジ横にもんちゃくが浮んでいてもエグ味が強すぎておよそ食えたもんじゃない)                       

■ステップその5 葛藤から統合へ INTJの核を手放す      

更に葛藤が詰まるところまで行き着くと、心理状況はオセロのように黒から白へ反転する。具体的に反転がどのようなものであるかというと、二つの対極的、対立的な概念、事柄に対し、ひとつ高い次元に視点を繰り上げるのだ。そうすることで異なる概念を包含する新たな意味、価値、手法を力づくで編み出すことに成功する。                             

では、どのようにして葛藤から統合へと導いてゆくのか。一言でいうと執着を手放すことである。INTJの核であるはずの固有性と自律性を敢えて手放す。相手に自分を投影させるのではなく、相手の存在を丸ごと受け入れる、Niに固執した未来から遊離し、強すぎる自我から距離を置く。得意な面(光)だけではなく、自身の反する面(影)に目を向けることで葛藤から統合的な視点を得るプロセスへと自らを導いてゆくのだ。

先ほどのおでん種を例にとれば、おでんの煮汁が濁らぬよう弱火でゆっくり煮込んで「もんちゃく」のエグ味を抜くのだ。エグ味を抜けば「悶着」は餅巾着となり食せるようになるわけだ。(さっぱりわからない例えで申し訳ない)             

■INTJの葛藤→統合プロセスはユングの個性化に似ているかも

このように考えると、葛藤から統合への過程は心理学者のカール・ユングのいうところの個性化プロセスに何だか近しいようにも感じられてくる。また、「INTJの核」というシリーズで5回に分け持論を展開したけれど、書くほどに「抽象性」「固有性」「自律性」の3点がINTJの中核を成すように思えてきた。おそらくINTJを構成する4つの主たる心理機能、Ni、Te、Fi、Seがこれらの性質を色濃く形づくっているのであろう。

それにしても。私の「もんちゃく」は一向に食えたものにはならない。けれど心の精進に日々勤しんでいればいつの日かきっと「餅巾着」として食せる日がくる。ひたすらにそう念じる今日この頃である。 
                         

以上、5回に及ぶシリーズ記事にお目通しをいただきまして有難うございました。自分の内側を探求することは他者を知り世界を知ることに通じます。「内側を介して外側を理解する」、まわりくどくてバイアスかかりまくりの思考ですが、固有のスタイルと捉えて読書の秋、思想の秋、探求の秋、やっぱり食欲の秋…私なりの秋を存分に楽しみたいです。

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