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200字小説『Water life』

ちゃぷん、という音で目が覚めた。
ああ。今月うちが水の番か。
家中が水で満たされている。
泳いで下へ下りると、妹がテレビを観ながら漂っていた。
「今月は何も食べなくていいんだよね」
「うん。ラクだね」
一か月、家から出られない。
その代わり、何もしなくていい。
ただじっと、水と共に過ごす。
妹がくるくる回り始めた。
私もリビングを泳いでから、くるくるした。 
ちゃぽん。ぶくぶく…。
水に抱かれて、私たちは生きる。

くるくる。

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