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400字小説『winter blue』

待ちに待った時が来た。
私も季節を選べる大人になった。
早速、県庁へ行って、申請した。
「えーっと、消すのは5月から9月ですね。あら、夏はお嫌い?」
「ええ。暑いのは苦手で。出来れば、ずっと冬がいいんですけど」
「あ、いいですよ。好きな季節だけ選んでも」
「え?そうなの?なら…12月から2月がいいです」
「分かりました。その3か月の繰り返しでいいですね?」
「はい」
まさかのサプライズだ。
てっきり、要らない季節を消去するしかないと思い込んでいた。
「では、今夜。午前12時からスタートします。どうぞ素敵な人生を」
「ありがとう」
ああ。
これでもう、夏の暑さに心を乱されることもない。
毛布に包まれて眠れる日々。

12月、年末へ向かうワクワクする空気を感じた。
1月、足元から冷える冷たい空気に喜びを覚えた。
そして2月後半の今。
また12月に戻れる嬉しさに満ちている。

済んだ青空。
真っ白な雪。
温かいコーヒー。

私の人生は、私のもの。

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