
Photo by
asanoshizuku
300字小説『彼女の背中』
「思考が好ましくない」
先生に言われて、退学が決まった。
教室で荷物をまとめていたら、あの子が走ってきた。
「どうしてあなたが」
「仕方ないよ。今までありがとね」
「そんな…」
俯いて唇をキュッと噛む。
可愛いね、ほんとに。
分かってるよ、あんたが告げ口したって。
「じゃ。これからもどんどん人を陥れて楽しんで」
彼女の耳元で呟いたら、喉の奥でククッと笑った。
「だって。これくらいの刺激がないと退屈なんだもの」
「あんたの退屈しのぎのために人生狂わされた人達を忘れんなよ」
「そうね」
ふふ。ふふふ。
ひらひらと軽やかに去ってゆく。
忘れないよ、絶対。
「明日から何しようかな…」
潰された私の未来。
いつかあんたから取り返してやる。