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nekonosara
300字小説『青に溶けてしまえ』
「冬の空って容赦ないね」
どこまでも続く空に、一筋の白い煙。
「煙草やめるって言ってなかった?」
「気が変わった。こいつとは離れられない」
「ふぅん…私より?」
「んー。そうかもね…ふふ」
「何よ」
「ほんっとアタシのこと好きだね、あんた」
「あなただけだもの、私のこと見えるの」
「魂を感じるだけだよ」
「それでいいの」
それだけでいいの。
ずっと独りぼっちだった私を、救いあげてくれた。
「そろそろ行くよ」
「次は、いつ?」
「さぁ。でもまた必ず来るからさ。ばいばい」
咥え煙草のまま去って行く。
すぐ来てね。
待ってるから。
あなたは大切なともだち。
空へ向かう。
また煙草を吸って。
私が火を消してあげる。
今度は雨になって逢いに来るわ。