マガジンのカバー画像

空想小説

96
思いつくままに書いた空想です。
運営しているクリエイター

#小説

300字小説『青に溶けてしまえ』

「冬の空って容赦ないね」 どこまでも続く空に、一筋の白い煙。 「煙草やめるって言ってなかっ…

achi-ko
3日前
9

700字小説『優しい』

彼女は自分に正直だ。 いつも真っ直ぐ気持ちをぶつけてくる。 「ねぇ、相談したいことがあるの…

achi-ko
1か月前
21

400字小説『夜空とデート』

深い穴を掘っている。 汗だくになって掘り続ける。 2mくらいの深さになった頃、上から声がした…

achi-ko
1か月前
18

140字小説『儚い』

「言葉では、なんとでも言えるわ」 笑顔でつぶやかないで。 「残酷ね。私を切り捨てるなんて」…

achi-ko
1か月前
22

900字小説『晩ごはん、なに?』

「おお、我らの美しき天使よ。その絹のような羽の一筋でいい、我に与えたまえ」 「…二度と逢…

achi-ko
1か月前
21

600字小説『Under Season』

「夕暮れ前に沈みましょう」 優しい微笑みをたたえて、でも強く俺の腕を掴む。 ざぼん。 湖に…

achi-ko
1か月前
21

350字小説『また逢いましょう』

やっとこの列車に乗れた。 指定された部屋は狭いけど、シンプルで清潔だ。 荷物をベッドの上に広げていたら 「チケットを拝見します」と車掌が入ってきた。 バッグからチケットを出して渡すと、少し驚いたような顔をした。 「ずいぶん遠くまで行かれるのですね。あそこは確か」 「ええ。40年ほどかかります、着くまで。ここへは戻らない覚悟で乗りました」 「そうですか。どなたか、お身内が?」 「はい。大事な人が先に」 「なるほど…。どうぞ、お元気で。良い旅を」 「ありがとう」 ソファに腰掛ける

500字小説『世迷言はいかがです?』

夜。足早に駅に向かっていたら、小悪魔に引き止められた 「世迷言を授けましょう」 「いらない…

achi-ko
1か月前
27

300字小説『夏の終わりに、さようなら』

大好きな人とお祭りに来た。 浴衣を褒めてくれた。 ピアスをプレゼントしてくれた。 かき氷を…

achi-ko
1か月前
27

500字小説『水色レイン』

「お帰り」 「…また勝手に。不法侵入だぞ」 「連れないこと言うな。土産がある」 いつからか…

achi-ko
2か月前
28

250字小説『夜明けブルー』

何時の間にか空は青に支配された。 最後に太陽に目を細めたのは、いつだったか。 「オレンジの…

achi-ko
2か月前
26

200字小説『空を蹴散らせ、蹴散らせ空を』

空が狭くなってきている。 洗濯物が乾かない。 誰にお願いすれば…。 「太陽に土下座すればい…

achi-ko
3か月前
23

140字小説『初恋からの手紙』

ポストに手紙が届いていた。 祖母宛てだ。 よれよれの封筒。 早速、仏壇に供えた。 「あと少し…

achi-ko
9か月前
7

空想小説/12

『わたくしに、お任せあれ』 「お困りのようですね」 「はい?」 いい天気だなぁ。散歩でもするかな。 そう思って、ぷらぷら歩いてただけなのに。 「あのー。誰ですか」 「またまた。ご存じのはずですよ」 「いえ、知りませんけど」 変な人なのかも。 ややこしいことにならないうちに離れよう。 「あ、待ってください。わたくしが、あなたの身代わりを」 「え?」 身代わり。それって、つまり…。 「もしかして知ってるの、明日のこと」 「ええ、存じております。わたくしなら、代わって差し上げられ