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空想小説

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思いつくままに書いた空想です。
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2024年9月の記事一覧

600字小説『Under Season』

「夕暮れ前に沈みましょう」 優しい微笑みをたたえて、でも強く俺の腕を掴む。 ざぼん。 湖に…

achi-ko
1か月前
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140字小説『切ない過去になるけれど』

「フラれました」 「そう。それは残念」 いつものコーヒーを出す。 「少し砂糖を入れたよ」 「…

achi-ko
1か月前
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350字小説『また逢いましょう』

やっとこの列車に乗れた。 指定された部屋は狭いけど、シンプルで清潔だ。 荷物をベッドの上に…

achi-ko
1か月前
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140字小説『Fly Me To The Moon』

少しでも月に近づきたくて、屋上へ上がった。 遠い存在。 後ろめたさを隠す夜をつくりだす。 …

achi-ko
1か月前
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500字小説『世迷言はいかがです?』

夜。足早に駅に向かっていたら、小悪魔に引き止められた 「世迷言を授けましょう」 「いらない…

achi-ko
1か月前
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300字小説『夏の終わりに、さようなら』

大好きな人とお祭りに来た。 浴衣を褒めてくれた。 ピアスをプレゼントしてくれた。 かき氷を…

achi-ko
1か月前
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300字小説『青煙』

「多くの人の犠牲の上に成り立つ自由なんて、大した事ないわ」 久しぶりに母が帰って来た。 「偉そうなこと言わないで。遊び歩いてたくせに」 「ふん。だからあんたは子どもなのよ」 正しければ通ると思ってんのね。 そう呟いて、鼻で笑う。 「好き勝手してる人に言われたくない」 「そうね。これからも自由にさせてもらうわ」 煙草を揉み消して、スッと立ち上がる。 「あんたも。早くその足枷を外しなさい。じゃあね」 颯爽と去って行く後ろ姿。 あの人から自分が生まれたなんて。 信じたくない事実だ。

140字小説『ただ過ぎゆく』

好きな人にフラれた。 友達に裏切られた。 大きな失敗をした。 騙された。 もう終わらせていい…

achi-ko
2か月前
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200字小説『Water life』

ちゃぷん、という音で目が覚めた。 ああ。今月うちが水の番か。 家中が水で満たされている。 …

achi-ko
2か月前
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