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工期や納品遅れ。開業日までに準備が不十分。こんな時は遅らせるべき?この視点で開業時期を考えるのはどうでしょうか?|開業Q&A

「2022年8月の記事を復刻掲載」
こちらの記事は、2022年8月に公開されたものです。
内容を一部改変してお届けします。


「今の時代ならどうするか?」という視点で、先生方から寄せられた開業に関する質問にお答えする連載「開業Q&A」。
今回は「準備ができていないので開業日をずらした方がいいですか?」というご質問にお答えします。

近年、材料不足や人手不足などによって、建物の引き渡しが遅れたり、注文していた設備が届かないといった状況が発生することがあります。
開業日が迫っている中で、予定通りに進めるべきか、開業日を遅らせるべきか悩まれることもあるかと思います。

結論から申し上げますと、準備が十分に整っていない場合には、無理をして開業を強行するよりも、開業日を思い切って変更するほうが賢明だと考えています。


開業日を変更するデメリットは?変更しないデメリットは?

では、開業日をずらすことによるデメリットは、どんなことがあるのでしょうか。

一つは、すでにスタッフの採用が決まっている場合、「人件費がかかる」ということです。そして、テナントや借地であれば、毎月の支払いが始まってしまうということもあるかと思います。

こうした出費はありますが、それよりもしっかりと準備をして整えて、開業を迎えることが重要だと考えています。

逆に、建設が予定通りに進まず、研修期間が十分に確保できない中で開業した診療所も過去にありましたが、上手くいっているケースが少ないように思います。

離職問題やスタッフ間のトラブルがあるという先生のお話しを聞くと、「開業時に価値観の統一やコミュニケーションの研修などを十分に行わずに慌ただしく開業をしてしまったので、初期のスタッフが辞めてしまった」というケースもあるようです。

開業日にこだわりすぎずに、着実に準備を進めていくことが大切なのではないでしょうか。

何をゴールにするのか できることを柔軟に

日々の診療やスタッフの人間関係がスムーズにいくことで開業医の人生が豊かに、そして望んでいる人生を叶えることがゴールだと思います。

しかし開業準備をしている中で開業がゴールと捉えてしまうこともあるかと思います。

「急がば回れ」の発想で、日々の診療や人間関係がスムーズにいくために必要な準備期間をしっかり確保していただくことが大切だと考えています。

様々なことが予定よりも遅れてしまう状況でも、工夫次第で進められることもあるのではないでしょうか。

例えば、建物ができていないけれどスタッフは集まっているという場合は、近くの会議室を借りたり、オンラインで研修を行ったりすることもできます。

マナー研修といった社会人としての常識や、診療所の理念・ビジョンなど、スタッフの中で統一しておきたい価値観を共に学び、共有する機会を、場所を変えて行うことができるのではないでしょうか。
さらに医療用語や医療機器の使い方などの研修も、診療所以外でもできることかもしれません。

そして、建物が完全にできていなくても、中に入ることができれば、オペレーションや診療の流れを確認することもできるかと思います。

また、スタッフも揃い、建物も完成しているものの設備が間に合っていない場合は、申請上の開業ができていれば、保険診療を行うことができますので、知り合いに診察を求めている人がいれば、診察を行っていくことも一つではないでしょうか。

何を目的に進んでいくのかという発想を大切に、柔軟にできることを探していくことが重要になると思います。

ぜひ開業をゴールにせずに、先生が叶えたい診療を実現するためにどのような準備が必要なのか考えていただければと思います。

ご参考にしてください。

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