疾患別まとめ とあるPTの勉強独りごつ11 #ジャンパー膝編
久々の投稿で申し訳けございません。資料作り、最近はパーソナル事業の方の企画を進めておりました。また本業のクリニックでも患者数激増に伴い、更新できずでした。
また、日々更新できるようにしていきますのでご興味があれば、覗いていただければ幸いです。
NOTEでは比較的自由に投稿したいと思っています。
疾患のまとめ、運動資料のこと。イラストのこと。PTのこと。
近々に今のNOTEから別のアカウントに疾患まとめメインのアカウントをつくっていけたらともかんがえています。それまではこちらで対応できればと思っております。
何卒、よろしくお願いします。
本日はジャンパー膝について少しまとめたので、勉強の資料としてもお使いくださいませ。
ジャンパー膝(膝蓋腱炎)とは?原因・症状・治療法について解説
**ジャンパー膝(膝蓋腱炎)**は、スポーツによる膝の過度使用が原因で、膝蓋腱や大腿四頭筋腱が膝蓋骨の付着部で損傷し、痛みや炎症を引き起こす疾患です。特にジャンプを繰り返すスポーツで発生しやすく、10代の若年層(15〜18歳)に多く見られます。膝の伸展機構に無理がかかることで、微小な断裂や瘢痕、石灰化が引き起こされます。
ジャンパー膝の特徴とリスク因子
ジャンパー膝は、膝蓋腱や大腿四頭筋腱が骨に付着する部分で発生します。これらの部位は血流が少なく、治癒が遅れがちです。主な発症リスクとして、スポーツ練習量やフォーム、グラウンドの環境などが挙げられます。また、**膝のアライメント(脚の配列の歪み)**も影響すると考えられています。
好発スポーツと発症部位
ジャンパー膝は、バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプを多用する競技で頻繁に発生します。発症する具体的な部位と頻度についての調査によると、以下のような分布が見られます:
膝蓋骨下極と膝蓋腱:最も多く、全体の62〜81%を占める
大腿四頭筋と膝蓋骨上極との境界:28%
膝蓋腱の遠位:10〜13%
分類について
ジャンパー膝は痛みが特徴で、膝前面や膝蓋骨下端、脛骨粗面に強い圧痛を伴います。Blazinaの重症度分類に基づき、以下の段階で症状が分類されます:
軽度(I):運動後に痛みがあるが、運動には支障なし
中等度(II):運動中や運動後に痛むが、運動は可能
重度(III):痛みが遷延し、日常動作にも支障をきたす
腱断裂(IV):腱が完全に断裂する状態
類似疾患との鑑別
ジャンパー膝と類似の疾患として、Osgood-Schlatter病や大腿四頭筋腱炎、Sinding-Larsen-Johansson病などがあります。いずれも膝の負担過多で発症するため、正確な診断が必要です。
画像診断と治療方法
画像診断
超音波:腱の肥厚や腫張、不均一な構造が確認できる。
X線:石灰化や骨の変形がある場合に診断が可能。
MRI:半月板損傷など他の損傷との鑑別に有用。
治療法
治療は主に保存療法で、特にⅢ度以上の症例では2〜4週間の安静が必要です。保存療法の内容は、物理療法や運動療法、ストレッチングが含まれます。炎症や痛みが強い場合には、冷却療法や消炎剤の使用が効果的です。以下に治療方法の概要をまとめます。
物理療法:温熱療法や冷却療法、超音波治療が行われ、腱や関節の深部組織へのアプローチも含まれます。
運動療法:柔軟性の向上や筋力増強を目指し、ストレッチングやトレーニングが行われます。
テーピング・装具:膝のアライメントを矯正し、動作を安定させる目的で使用されます。
リハビリと再発予防
リハビリでは疼痛管理と関節可動域の維持が短期目標として掲げられ、長期的には筋力強化やフォーム改善を目指します。スポーツ復帰を目指す場合、膝周囲の筋肉強化と正しいフォーム指導が重要です。また、再発予防としてウォーミングアップの徹底やジャンプ動作の見直しが推奨されます。
そこで簡単な運動やリハビリを紹介します。
ジャンパー膝に対する最新のリハビリ運動
ジャンパー膝(膝蓋腱炎)のリハビリでは、従来の保存療法や筋力トレーニングに加えて、エキセントリック(遠心性)トレーニングやCKC(クローズドキネティックチェーン)運動を組み合わせたリハビリが推奨されています。特に最近では、膝蓋腱にかかる負荷を効率よくコントロールしつつ、痛みを軽減し筋力を向上させるための方法が注目されています。
以下に、最新のリハビリ運動をいくつか紹介します。
1. エキセントリックトレーニング
エキセントリックトレーニングは、筋肉が伸びながら力を発揮する運動です。膝蓋腱への負荷を徐々に増加させることで、腱の修復を促し、痛みの軽減を図ります。膝蓋腱に対する効果が高いため、ジャンパー膝のリハビリで広く用いられています。
スローレッグエクステンション
椅子に座り、ゆっくりと足を伸ばして膝を伸展させます。この時、下ろす際に遠心性の負荷を意識し、3~5秒かけてゆっくり下ろします。
痛みがない範囲で負荷をかけるのが理想的です。
デクラインスクワット
斜面(約25度)に立ち、膝をゆっくりと曲げながらスクワットします。遠心性の負荷を意識し、膝蓋腱を伸ばしながら行うことで、効果的に筋力を向上できます。
通常のスクワットよりも膝蓋腱に直接負荷がかかりやすいため、痛みを感じる場合は負荷を減らしましょう。
2. CKC(クローズドキネティックチェーン)トレーニング
CKCトレーニングでは、体重を足にかけることで関節や筋肉に均等に負荷がかかり、膝にかかるストレスをコントロールしやすくします。以下の運動がジャンパー膝のリハビリで特に推奨されています。
クォータースクワット
膝の曲げる角度を小さく(約30度程度)し、負荷をコントロールします。膝蓋腱にかかる負担が軽減され、膝を安定させる筋力を効果的に鍛えることができます。
ウォールスライドスクワット
壁に背中をつけた状態でスクワットを行います。膝にかかる負荷を調整しやすく、ジャンパー膝の痛みが軽減されやすいです。
レッグプレス
負荷をかけすぎない範囲でレッグプレスを行います。膝の屈伸をコントロールし、ゆっくりと動作することで、膝蓋腱の負荷を調整しながらトレーニングができます。
3. プライオメトリックトレーニング(ジャンプトレーニング)
痛みが和らぎ、基礎的な筋力が回復した段階で、プライオメトリックトレーニングを導入します。ジャンプ動作やストップ動作が含まれることで、スポーツ特性を高めるのに有効です。
サイド・ツー・サイドジャンプ
片足で横にジャンプする運動で、膝の安定性と筋力強化を同時に行います。痛みがなければ、次第にジャンプの距離や速度を増やします。
ボックスジャンプ
足にかかる衝撃を調整するため、低めのボックスからスタートし、痛みがなければ徐々に高さを増します。着地時の膝の安定性を意識し、膝蓋腱への負担がかかりすぎないようにします。
リハビリでは、膝蓋腱炎の再発防止を目的に、周辺筋群のバランス強化も行います。股関節周りの筋力を鍛えることで膝関節の安定が得られ、負担を軽減できます。
ヒップアブダクション(横向きの脚上げ)
横向きに寝て、片足を上げ下げする運動です。股関節周りの筋肉を強化することで、膝にかかる負荷を分散させます。
足関節背屈の強化
足首の柔軟性を高め、膝にかかる負荷を調整するため、足関節の背屈(足首を上に引き上げる運動)もリハビリで行います。足首の可動域が確保されると、膝への負担が軽減されます。
まとめ
ジャンパー膝のリハビリは、初期段階では痛みの管理を最優先し、遠心性やCKC運動を中心に徐々に負荷を増やします。最終的にはスポーツ特性を取り入れたプライオメトリックトレーニングで実戦に向けた準備を整え、再発を防止するために膝や股関節周りの筋力バランスを保つことが重要です。
ジャンパー膝は、特に若年アスリートに多く見られる膝の過度使用による障害です。適切な治療とリハビリを行いながら、練習環境やフォームの見直しを徹底することで再発予防が可能です。発症のリスクが高い方は、医師や理学療法士のアドバイスを受けながら、無理のないトレーニングを心がけましょう。