気になっている2024年夏アニメ

この夏観てみたいと思っているテレビアニメについて書きます。
この文章は、勤め先の人に夏アニメをおすすめするために書いたものを転載したものです。

まずタイトルと放送日時の一覧をば。

<P.A.WORKSの夏>

P.A.WORKS(ピーエーワークス)は富山に拠点を置くアニメ制作会社です。丁寧な作画でキャラクターの心情やアクションを的確に描き、それぞれの作品に固有の作劇を見せてくるスタジオです。またオリジナル作品が多いことも特徴で、半数以上の作品がオリジナルです。私が最も好きなスタジオです。
この夏はP.A.WORKSのテレビアニメが3作品、土日月と3日連続で放送されます。ピーエーファンとしては夢でしかない放送スケジュールです。「未来に向かってどんなふうに生きていけばいいだろう?」みたいなことをまっすぐ考えさせてくれるいい作品ばかり作っているスタジオなので、ぜひ観てみていただければと思います。

『菜なれ花なれ』

群馬県沼田市を舞台にした、チアリーディングで人々を元気にしようとする女子高生たちの青春作品です。

作画はP.A.WORKSですが、監督や脚本といったメインスタッフには柿本広大監督や綾奈ゆにこなどバンドリシリーズのスタッフが名を連ねています。「応援」がテーマの作品とのことで、バンドリのスタッフとP.A.WORKSにうってつけの題材だと思います。

(余談ですが、『BanG!Dream Second Season』第3話に歌を応援として届けるようなシーンがあって、私はそのシーンをきっかけにバンドリファンとなりました。柿本広大監督がP.A.WORKS作品に多数参加していることや、バンドリのゲームに関わっていたメンバーが現在展開している『プロジェクトセカイ』の短編アニメーションをP.A.WORKSが制作していることなど、P.A.WORKSとバンドリにはけっこう近いカルチャーがあるように思っています。)

先行上映で1話を観たのですが、チアのシーンにかなり力が入っています。また1話終盤のシーンが「こんなシーンをアニメで観られたらいいな」と私が思っていたような映像になっていてとても興奮しました。レイアウト重視のP.A.WORKSの強みが発揮された映像になっています。
目新しいルックへの挑戦にも期待できそうです。PVでも感じられるように、陰や輪郭線に色がついていて、キャラと新版画調の背景が馴染むような色遣いになっています。「日本のセルアニメはキャラと背景が別々の論理で描かれていて一体感がない。それでいいのか?」という問題提起は長らく行われていました。近年はCGアニメの発展や個人制作アニメの流行もあって、この課題への挑戦の機運が高まっています。この春に公開された『ガールズバンドクライ』や『数分間のエールを』がすばらしいルックのアニメを披露してくれましたが、『菜なれ花なれ』は手描きアニメにおいてそのような挑戦を見せてくれそうです。

 キャラクターの特徴や趣味など、人物像の設定が細かいのも見どころです。ハーフの子や車椅子生活を送っている子がいるなど属性もさまざまです。通う学校も違うけれど、それぞれの人物がいろいろな形で接点を持っていて、人間関係が網の目のように展開されます。このような人物像・関係性の描写もバンドリシリーズのスタッフが得意とするところです。

また音楽プロデュースをゆずの北川悠仁氏が担当しているとのことで、チアの楽曲にも注目していきたいです

『真夜中ぱんチ』

パリピ孔明のスタッフによるギャグアニメです。キャラクター原案はことぶきつかさ氏。
生配信中にやらかして炎上してしまった配信主の真咲が、ヴァンパイアたちと動画制作をするというお話です。こちらも先行上映を観たのですが、主人公が呑んだくれでなかなかクセが強いです。ヴァンパイアたちのキレのある動きや、オープニングや本編のダンスのシーンも楽しめそうです。


『天穂のサクナヒメ』

ゲームが原作で、お米作りがキーとなるファンタジー作品です。
こちらは先行上映で3話まで観ました。世界観とアクションがすごいです。田植えや田おこしの腰の入った動きもよく描かれていました。未熟な神様のサクナヒメと、技能に偏りがある人間たちが四苦八苦して生活していく姿も楽しいです。
本作は吉原正行監督をはじめ、P.A.WORKSの社内や出身スタッフがメインで作っています。キャラデザも子供向けアニメのような丸っこく立体感のあるデザインで、社内スタッフの持ち味が出ています。
主題歌はいきものがかりが歌っています。

農水省とのコラボも決まるなど、なかなか大きな話題となっています。


<高いクオリティが期待できる作品>

『しかのこのこのここしたんたん』

ギャグ漫画が原作。「人類よシカを目指せ」がキャッチフレーズの、「シカになろう系アニメ」です。
制作はWIT Studio。『進撃の巨人』『甲鉄城のカバネリ』など硬派なアクション作品で有名ですが、実はギャグアニメにも前々から力を入れているスタジオです。
監督はギャグアニメの名手である太田雅彦監督。みなみけ1期、ゆるゆり、干物妹!うまるちゃんなど多数のギャグアニメを手掛けています。大田監督のギャグアニメは発想がぶっ飛んでいるのですが、下品なところがなくてとても好きです。
PVが意味不明でハイテンションですが、太田監督ならこのテンションを最後まで保てると思います。

なお太田監督とWIT Studioのタッグはこれが2作品目で、1作目はおはスタ内で放送された「おにぱん!」。こちらもかわいらしくてとてもおもしろいです。


『逃げ上手の若君』

原作は週刊少年ジャンプ連載の漫画。鎌倉幕府滅亡後、中先代の乱を起こした北条氏の遺児・北条時行を主人公とする物語です。
制作はClover Works。原作の松井優征氏らしいデザインと、Clover Worksが得意とする人間の暗い部分も含めた多彩な表情や、衣装など布の細やかな描写を両立したすばらしい映像を見せてくれそうです。
主人公の時行を演じるのは、『トラペジウム』でも主演だった新人の結川あさき。結川さんは『トラペジウム』でアイドルに妄執する東ゆうの異様さを見事に演じていたので、結川さんの演技にも要注目です。


『異世界スーサイド・スクワッド』

WIT Studioがアメコミ原案のアニメを作るというのがおもしろい。『Re:ゼロから始める異世界生活』の長月達平による脚本もいろいろ仕掛けてきそうで楽しみです。

オープニング曲は布袋寅泰さん。


<ストーリーや映像が作りこまれていそうなアニメ>

『ATRI(アトリ) -My Dear Moments-』

アニプレックスの新ブランドのノベルゲームが原作です。
制作はあおきえい監督らが設立したスタジオトロイカ。本作の監督を務める加藤誠氏は、繊細な心情描写を得意とする演出家です。キャラクターデザインは『アイドリッシュセブン』のサトウミチオ氏で、きっぱりした表情が魅力的です。


『小市民シリーズ』

『〈古典部〉シリーズ』(氷菓など)の米澤穂信による青春ミステリー小説が原作。15年も前に完結した小説のアニメ化ということで、原作ファンが大いに盛り上がっています。
制作は地味なシーンも丹念に描けるラパントラックで(「地味なシーンを描ける」はアニメ的には褒め言葉です。難しいことだと言われています。)、監督は神戸守でシリーズ構成は大野敏哉という『すべてがFになる』や『約束のネバーランド』を作ってきたタッグです。ミステリーを描くうえで安心しかない布陣です。
ヒロインの小佐内ゆきを演じるのはMyGOのボーカルの羊宮妃那。羊宮さんのかわいらしくミステリアスな声も堪能したいです。PVの「たーるとたーると♪」好き。羊宮さん、食べながら喋る演技がとてもうまいのでそこも注目していただければと。


『負けヒロインが多すぎる!』

ライトノベルが原作で、制作はアニプレックス傘下のA-1 Pictures。監督の北村翔太郎氏はカメラや光源などにこだわった映像演出をする方なので、タイトルで甘く見ずに観ていただければと思います。


『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』

2015年に亡くなられた藤原ここあの漫画のアニメ化です。綾奈ゆにこ脚本による甘酸っぱい恋模様に注目したいです。
制作はボンズで監督は大橋明代。大橋明代監督というと2020年公開のBLもののアニメ映画『海辺のエトランゼ』の日常描写がすばらしかったです。大橋監督の映像表現をまた観られるという点でも私は大変嬉しく思っています。


『杖と剣のウィストリア』

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の大森藤ノ氏によるライトノベルのアニメ化。
監督は『チェンソーマン』にも携わった𠮷原達矢氏で、見ごたえのあるアクションが期待できそうです。


<漫画原作のアニメ続編の注目作>

『【推しの子】第2期』

アイドルを巡るサスペンスを描いた漫画のアニメ化作品。昨年も大変話題になっていました。
制作は動画工房で、監督はドラマ描写の名手である平牧大輔氏。


『SHY 第2期』

恥ずかしがり屋のヒーローを主人公とする少年漫画が原作。
敵の組織・アマラリルクの暗く怪しい雰囲気と、それに対抗するヒーローたちのみなぎる情熱とのコントラストが魅力的な作品です。監督の安藤正臣氏は漫画原作の魅力を映像に落とし込むのがとてもうまいので絶対の信頼が置けると思っています。


『戦国妖狐 千魔混沌編』

『惑星のさみだれ』などの水上悟志氏による歴史ファンタジー漫画が原作。
水上悟志さんのヒーロー観、ヒーローは特別じゃないという感じが魅力的です。
制作はWhite Foxで、アクションのセンスがすばらしく、線が少ないデザインながら色気のある描写もうまくてすばらしいアニメ化となっています。夏から始まる2期は連続2クール放送ということで、戦国ファンタジーの世界にじっくり浸りたいです。


『君に届け 3rd Season』

Netflixにて8月から配信開始。まさか今になって続編が作られるとは思いませんでした。ありがとうNetflix。


<往年の漫画シリーズのアニメ化>
往年の漫画はあまり詳しくないのですが、これらの作品も気になっています。

グレンダイザーU


キン肉マン 完璧超人始祖編


かなりたくさん紹介しましたが、私も全部観られるかどうか…。
とはいえいずれも期待できる作品ばかりなので、まずは1話だけでも観てみてください!


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