言えなかったプロポーズの言葉/エッセイ
唐突ですがコナンと言えば?
すまない。私は『未来少年コナン』のコナンだ。
ここは譲れない。
全てを理解しているのに「あれれぇ?」 って言うこまっちょくれた子供の方ではない。
私の中のコナンは、「ラ-ン!」とは叫ばない。
「ラナ-!」である。
博士といえば『ラオ博士』だ。
『阿笠博士』ではない。
子供の頃みたこのアニメに私は多分に影響を受けた。コナンの考えや行動に感動し、自分もコナンのようになりたいと思った。常に "こんな時コナンならどうする?" って、アヤナミレイ(仮称)みたいに考えながら生きた。小中高まで。若干痛い。
超人的な身体能力の持ち主で、正義感が強く、罪を憎んで人を憎まず、真っ直ぐで青空のようなその性格は、今の私の基礎となっていると言っても過言ではない。未だに続いてる中二病。だって成人になってないから(過去のエッセイ参照)。
このアニメの中でヒロインのラナに言ったコナンの名セリフに、
「その時、ラナも一緒に来てくれると、とても嬉しい」
なんてのがありまして。これは今のゴタゴタが終わったら自分が生まれ育った島 "のこされ島" に帰りたいと思うのだけど、って話した後に続くセリフ。まぁほぼ告白ですな。なんならプロポーズに近い。
このセリフ、実はとても巧妙だなぁと思うのであります。「俺についてこい!」という命令じゃなく、「ついてきて欲しい」という懇願でもなく、「あなたがこういうことをすると私はとても喜びます」という親切心を上手く利用した高等テクである。キラキラした目で真っ直ぐ見つめられながら言われたら断りにくい。コナンはこんなテク一体いつ誰から教わったのか?育ての親である "おじい" はもしや若かりし頃マルチ商法に手を染めていたのか?と思うほどである。
それで、当時小学生の私は感化されて "よし!僕のプロポーズの言葉はこれにしよう!" と思ったわけでして。それから月日が経ち、そんなことも忘れてたある日、こんな我輩にもお付き合いする女性が現れる。それで、プロポーズを言う雰囲気がプンプン漂うある日、
「そうだ!コナンのあのセリフだ!」
と思い出したわけで。ナイス俺!
でも、いやまてよ? まずセリフの最初 "その時" とはどの時だ? "一緒に来てくれる" とは一体どこにいくのだ? このあと家にか? それなら今もたまに来てる。普通に
「そろそろ帰るけど、この後うちに泊まってく?」
って言ってるにすぎない。はい。
つまり、このセリフをプロポーズに使うには私が近い将来どこかへ行く予定がなければならない。私にとっての "のこされ島" はどこだ?
ない。そんなもんない。
じゃ作るか?今の仕事辞めて? 海外とか? いやいやムリムリ。必死に掴んだ研究職。辞めてどこ行くよ?まだどこのソサエティにも何の成果も出してないのに...。
という事で、あえなく使うのを断念した次第でした。
じゃ代わりに何て言ったかって?
……覚えてない。
その程度です。はい。