『太宰治の辞書』北村薫 創元推理文庫
友人から借りた『太宰治の辞書』北村薫 創元推理文庫を読了しました。
文庫には
花火
女生徒
太宰治の辞書
白い朝
一年後の『太宰治の辞書』
二つの『現代日本小説大系』
以上の収録になっています。
カバーによると北村薫先生は1949年埼玉生まれ。
現在は75歳。今までに経験された、もしくはお考えが入った時間の流れを
汲み取って読み手に浸そうといった印象をどの一遍にも受けました。
私が75歳になったら、こんな穏やかな気持ちになれるだろうか。
「花火」のなかに芥川龍之介の「舞踏会」の一文が紹介されている。
"私は花火の事を考えていたのです。我々の生のような花火の事を"
この一文を若い頃に読むのと年取ってから読むのとは印象が違ってくるやろね。若い頃は未来を、年を取ったら過去をそれぞれ花火のように想うのだろうか。読み続けていくうちに次々と作家、作品、作家、作品と紹介されていく、古本屋の実家にいたときのように懐かしく、亡くなった父親、」母親にもっと色々訊ねておけば良かったと思い、やわらかな気分になる。
作者のゆかりの地を訪れる事の素晴らしさ。
そして「白い朝」の素晴らしい余韻・・・
ああ老境に嫁さんと2人、このような会話ができればと思う。
この本のおかげで、おだやかな時間がもらえました。
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