おじいちゃんと孫(最強コンビ誕生)
旦那の実家を捨て、絶縁状態となり格安一軒家での家族四人での生活が始まった。
息子はギリギリ通える範囲にあって、中学は変えず、娘は小学校を転校した。
何とか学期末のタイミングで手続きが出来て、自分達だけの生活が始まった。
私も父の所でパートをしながら、息子や゙娘の送り迎えをしたり、今までより倍以上の敷地の掃除に戸惑いながらも、静かな生活に張り詰めていた気持ちが落ち着いていった。
それと同時に、息子が中学3年になって部活を引退する頃には、毎週の様に父が遊びに来たり、息子も父の仕事を手伝いに行ったり、会う頻度が増えていった。
そもそも、息子は話をするのが好きなタイプだ。そして、父はそんな息子の話をいつも楽しそうに聞く人だった。
私には言わないような相談も、父にしていたと後に知ったりもした。
さらに2人の共通点は、美味しいものを食べるのが好きだと言う事だ。
そして、作るのも好きだった。
父は若い頃、料理人を目指していて、修行していた時期もあった。
息子が魚を捌きたいと言うと、家に眠っていた本格的な包丁を持ってきて、包丁の研ぎ方を教えてくれていた。
ただ、残念な事に息子は金属アレルギーらさく、真似をして包丁を研いだ途端、手が真っ赤になった。
そんな状況でも、2人は楽しそうに料理をしていて、いつの間にか週末はどこかに買い物に行って、皆で食事をするという事が増えていった。
トランプをしたり、花札をてみたり。
しかもいつも真剣勝負だった。勝てば喜び、負ければ「もう1回!」。
父は楽しむ時は真剣に思いっきり楽しむ人だった。
真正面から向かってきてくれる大人の存在が、息子にとっては心地よかったのだと思う。
そして高校生になると、長期連休や繁忙期の土曜日なんかに、息子は父の所で私と一緒にアルバイトをする事になった。