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牡丹とサザンカ

冬は殺風景な季節かと思えば、我が家の垣根はサザンカなので、今まさに咲きほこっている。

田舎ですが、ちゃんと住宅街がある。

団塊の世代の時代。

有り余る土地を工業団地として切り開き、多数の企業が集まってきた。

また、少し離れた場所には大きな家電メーカーの工場があった。

山を潰して、住宅街が出来た。

区画整理がされ、土地はどんどん売れていき、農業を辞めて実家を出た会社員の家庭が一気に集まってきたのだ。

少し遅れて、その敷地はどんどん広がり、建売として整備されたのが私が住んでいる場所。

数年前、中古住宅として売りにだされた激安物件に飛び付いた。

多数の家の垣根がサザンカなのだ。

街路樹にもサザンカ。

私はずっと牡丹だと思っていたのだが、違いが分からなかった。

調べると、花が終わって丸ごと落ちるのが牡丹で、花弁が1枚1枚落ちていくのかサザンカ。
(間違っていたら訂正して下さい。)

去年は娘とサザンカをデッサンしていた。

花って描くのが難しい。

1つとして同じ花はない。

葉や枝や花弁。どれも違う。

すぐ描かないとその姿も変わっていく。

「もう描きたくない。」娘はボヤいていた。

写真に撮っても、本物の質感がちょっと違う。

散歩をしていると、そんな去年の事を思い出す。

それと同時に、たくましく咲くサザンカの群れに心震える。

【空き家も増えてきたな。】

それでも主人のいない家の垣根に、サザンカの花が顔を出して挨拶してくる。


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