② 母と認知症と家族のはなし
久しぶりの実家訪問
2022年8月27日~28日
姉からの衝撃的な報告から、約2週間後。週末を使って、母の様子を伺いに実家を訪問することにした。
自宅から実家までは、県をまたいで車で約2時間ほどかかる。
子どもたちが小さい頃は、ちょくちょく実家に顔を出していたが、大きくなってくると、行く機会がだんだんと減ってしまった。
その後はお互いの家の中間地点くらいで会って、食事をしたりもしていたが、コロナ騒ぎを境に2年以上、会っていない状態だった。
久しぶりの実家に到着。
実家の駐車場には、母の乗っていた車はもう無かった。軽度認知症と診断されて以降、運転はやめて、車も手放したらしい。賢明な判断をしてくれてよかった。
一方、父はまだ運転をしている。しかも、新しい車に乗り換える契約をしたらしいと、姉から聞いた時は、呆れてしまったよ。なぜ、そういう事になったのか・・・本当に不思議。
もう、車の運転はそろそろやめて欲しいと思っていたのになぁ。
長年お世話になっている車のディーラーさんなので、オススメされるがままに契約してしまったのだろうか。もう80歳を超えた老人に、新車を勧めるなんて、家族からしたら「えっ?なんで?」と思ってしまうのだが。
高齢者の場合、車の購入などの高額の契約は、契約時に家族の同席や同意などを義務付ける、ガイドラインがあればいいのになと思う。(確か、証券とか金融とかにはガイドラインがあったような・・・)
話が逸れた。
いざ、久しぶりの実家に、恐る恐る足を踏み入れる。
家の中は・・・一言で言うとカオスだった。ある程度予想はしていたが、思った以上だった。
すべての部屋という部屋が物で溢れている。洗面所も、洗濯場もひどい有様で愕然とする。
もともと、母も父も整理整頓とか、掃除とか得意ではなかったのだが、ここまでになってしまうとは・・・。
両親に挨拶をして、互いの近況の報告。久しぶりに会った両親は、共に小さくなった印象を受けた。
母は世間話をしているだけでは、認知症とは思えない。だが、いろいろ話を聞いていくと、話が二転三転したり、思い違いがあったりと、短期記憶が弱くなっていることがわかる。
本当に認知症になり始めてるんだなと確信した日となった。
でもまだ、日常のことはほとんどできている。なにより姉のマンションまで、1人でバスに乗って行き来ができているのは大きい。これはできる限り続けていけたらいいなと思う。
そして、母はスマートフォンを使うことができるので、連絡は取りやすい。
そして、スマホのGPS機能を使って、姉が母の所在を確認することもできるので、もし迷子になっても追跡ができるのは安心材料になっている。
さて、早急に実家の環境整備をしなければならないなぁ。何がどこにあるのかが見つけられなくて、同じものを購入したりしている。だからどんどん物が増えているのかも。
さらに両親の年代の人に多いのは「まだ使えるからもったいない」との精神が根深くて、不用の物まで手放せないのも、物が増えていく大きな要因になっている。
「手伝うから、家の中を片付けていこうよ。」と両親に提案するも、共に片付けにはかなり消極的な反応。いや、拒否反応に近いものだった。
この反応は、無理矢理推し進めるのは得策じゃないな。
ということで、まずは要らないものがハッキリ分かりやすい所、冷蔵庫の中をキレイにしようよ、と母に伝えると渋々ながらも腰を上げてくれた。
母は、車の運転をやめたことで、食材を買いに行かれなくなってしまった。歩いて行かれる所にコンビニはあるが、スーパーマーケットはない。
そこで、もともと生協の配達は利用していたので、1週間分の食材などを注文することになったのだが、これがなかなか管理が難しいようだった。
買いすぎてしまうのだ。特に冷凍食品。冷凍庫に溢れんばかりに詰め込まれている。
冷凍食品を冷蔵室に入れてしまっていたり、野菜も同じ様なものや、傷んだものが野菜室に沢山詰め込んである。
賞味期限切れの物を処分して、取り出しやすくしたら、母も気持ちがスッキリしたようで、そのまま台所まわりも一緒に整理しはじめた。
ラップ類、ビニール袋類、三角コーナー用の水切りネットが、あらゆる所から大量に出てくる出てくる。
こんなにも購入していることを自覚できてない母はなんなのだ?これは認知症だからではなく、買ったことで満足してしまう、買い物依存症的なものなのか?
この買い物に関することでは、のちのち私の頭を悩ますこととなる。
とにかく、今回は滞在2日間で、台所まわりをあらかた整理できたのは収穫だったな。
母も片付けのハードルが少し下がった様なので、次回は洗濯室と洗面所あたりの整理に着手できるかな。
その一方、父は無駄になった食材を見て、母を責めた。そして、口だけ出して手伝ってはくれなかった。
この頃の父は、母は軽度認知障害(MCI)なのだから、まだ認知症ではないんだ!と言って、私と話が噛み合わなくて口論になることしばしば。
なかなか手強い父なのである。
つづく
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