“日本のアネクドテン”の暗鬱〈オマージュ作品について〉(プログレッシヴ・エッセイ 第9回)
金属恵比須はよく、70年代のプログレやハード・ロックの曲のオマージュをする。断っておくが、パクリではない、オマージュである。
キング・クリムゾンの名曲「エピタフ」「ポセイドンのめざめ」のような抒情的な曲をパクりたくて……否、オマージュしたくて「紅葉狩」という曲をつくった。20年前の今頃、2004年のことである。
そしてインディーズ・レーベルから発表される。
帯のキャッチコピーが、
“日本のアネクドテン”
アネクドテンとは、いわずと知れた90年代デビュー、クリムゾンのカバー・バンドを母体としたスウェーデンのバンドである。当時のアネクドテンのキャッチコピーは「北欧のクリムゾン」。
ということは数学の式みたいな展開をすると、
“日本のアネクドテン”=“日本の〈北欧のクリムゾン〉”
となる。
劣化コピーじゃん。
当時、アネクドテンをほとんど聞いたことがなかったので大層複雑な気持ちになった。と同時に、「クリムゾンをオマージュすると方法論は似通うんだ」と安心したりもした。
それから12年後、“負のキャッチコピー”を逆手に取ってアネクドテンのオマージュをすることとなる。
仮題は「姉口説いてん」。
実に近親相姦的なタイトルだが、同じ“親”から生まれたクリムゾン・チルドレンに手を出すのだから、あながち見当違いでもないネーミングだとも思う。これがのちの「阿修羅のごとく」という曲になる。
今、アネクドテンはクリムゾン・フォロワーから脱皮し、確固たる地位を築いている。アネクドテン・フォロワーも多数。もしかしたら“日本のアネクドテン”というキャッチコピーを欲しがるバンドもいるかもしれない。レーベルには、いち早く名誉あるキャッチコピーをいただき、今は感謝している。
そういえば、プログレファンのブログを読んでいたら金属恵比須に対してキャッチコピーをつけている方がいらっしゃった。
“オマージュを芸術に昇華したバンド”
最高の表現ではないか!
パクろうかな。