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おデブちんの言い訳ですが

美味しいものをお腹いっぱい。
これを幸せの秋と言う。

街を歩けば、たくさんの誘惑が私に語りかけて来る。

ショーケースに並ぶケーキは、まるでケーキ達のファッションショー。
ケーキ達が私にアピールする。
「フルーツで着飾ったドレスの私が一番キレイでしょ」
「チョコの私が一番人気なのよ」
「秋はやっぱりモンブランの私で決まりでしょ」
最近は1個1000円以上するケーキも珍しくない。
しかし1個くださいとはどうしても言えない私。

パン屋さんの前を通れば、美味しそうな香りがフワリと私を包み、思わず振り返ってしまう。
店の中の様々なパンが私を誘う。
「いらっしゃい、いらっしゃい、こっちよ、こっち」
「トレーとトンクはここだから」
ごろごろ肉のカレーパン、シナモンまみれのドーナッツ、ナッツたっぷりロールパン、チーズとろ~りのふわふわパン、迷う。迷う。 
そして思わずアップルパイに引きつけられる私。

更に街を歩けば、のぼりの旗がヒラヒラと私に手招きする。
旗には産地直売の文字が。
柿、リンゴ、サツマイモにカボチャが店頭に並ぶ。
そして栗が私に語りかけてくる。
「やっぱり秋は栗ご飯でしょ!」
栗ご飯が食べたい!
でも栗の皮を剥くのは大変だと思ってしまう私。
しかし松茸は買えない。

おこわ屋さんの前を通ったら、栗おこわがちょうど出来たてのほかほかだった。
最近はていねいな暮らしではなく、手抜きの暮らしの私。
だがそれもいいだろう。

世の中は美味しいもので溢れている。
美味しいものを美味しいと思って食べられる幸せ。
まずい物で、お腹をいっぱいにはしたくはない。
健康のためだと、食べたいものを我慢して長生きすることに意味があるのだろうか?と思ってしまう。
健康だからこそ言えるのかも知れないが、いずれ歳をとり多くは食べられない日はやってくる。

新米を買った。
やっと米不足も解消だろうか。
5キロの米を持って歩いて家に帰る。
大した距離ではないものの重い。
やっぱり5キロは重い。

今や私は人生最高の体重を更新中だ。
洋服はサイズアップ。
いったい私は毎日5キロの米袋をいくつ持って歩いているのやら。
どおりで最近は体が重いわけだ。
今や赤身だったボデイは油の乗った中トロへ、そして腹はもはや大トロだ。

そして私は、お腹に力を入れて背筋を伸ばして街を歩き出す。
10センチヒールを履いてコツコツとはいかないが、ぺったんこ靴を履いてペタペタとランウエイ。
私は女優 私は女優!
とびっきりスタイルの良い女優よ。
見て見て私。
と、せめて気持ちだけでも。



お茶にしましょう
街はハロウインのディスプレイで賑やか
黒猫と目があって
ついつい買ってしまう
ハロウインのお菓子達

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