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エストニア日記 行く前の第0章

 ヨーロッパに生活拠点を置き、近隣の国に旅行に行くとなったらフランスやイギリスといったメジャーな国を想像されるだろう。
 自分はなんだか、そういったことに逆ばった行動をしてしまう。誰も予想だにしなさそうな国に行こう。そうだ。

          エストニア。

 その国の存在を知ったのは大学に入った後である。ゼミの先生がバルト三国を研究していることと、ロシアによるウクライナ侵攻で注目されたことがきっかけだった。
 ただ、バルト三国と一括りにしただけで、どこがリトアニアでどこがラトビアで何語が話されているのかなんて全く知らない。ただ、留学に行く前から機会があれば行ってみたいとは思っていた。 
 
 ロシアと国境を面した国、IT化が進んでいる。フィンランド語と近い言語を話している、首都はタリン。エストニアを調べてみて初めに知ったことだ。それだけの情報でフライトを予約してしまった。往復3万円超。他の近隣諸国に行くよりかは高い。それでもまたとない機会ということで気持ちは高ぶっていた。


 ゼミの先生にどう観光するべきかを相談したい。ただ、進めますと言ったきり、進捗してない卒業論文があった。考えただけで憂鬱だが進めなきゃ。
 
 木曜の授業が休講になったこともあり、5連休のすべてを卒業論文に費やした。進捗結果を旅行の計画と共に、意気揚々と先生に報告。先生は卒業論文の進捗に関しての返信はすぐにはしないタイプだ。偶然だと思うが、すぐに返信が来て、行くべき場所を案内してくれた。
 

 迎えたオンラインでの報告日。「さてと、卒論の相談がこれ以上ないということで、ここからはエストニアの話に移りましょうか。」満を持しての相談タイムである。

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