旧国籍法「国籍喪失」に関する訓令通牒録の記述が興味深かった
2週間ほど前に国際養子の国籍の扱いに関連した疑問を書きました。
日本人の子供が国際養子として外国人の養親と縁組をした場合、養親の国籍の法律によっては「自動的」に養親の国の国籍を付与される場合があります。この場合は外国籍を「志望」して取得したわけではないので、日本国籍は失わないはずです。(記事のケースの「英国の扱い」は特殊なのかもしれませんが)そのあたりの扱い、昔から間違いなくきっちり行われているのか? どうも疑問が残ります。
国立国会図書館デジタルコレクションの文献(旧国籍法に関する「訓令通牒録」)で「国籍喪失」の扱いがどうなっているかをながめていたら、大変興味深い記載内容を見つけました。
戸籍学会 編『親族、相続、戸籍ニ関スル訓令通牒』大正4年5月,戸籍学会,大正4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1337411 (参照 2024-12-10)
「明治32年」の回答です。この年は日本で最初の国籍法ができた年ですね。つまり、役所の実務担当者も「先例が無いのでまだよくわかっていない」時期。この時期の問い合わせと回答内容は、制度最初期の「誤解しやすい点」「考え方」を垣間見せてくれます。
この1155番の問い合わせ(私の意訳)
みたいなことを言っているものと思われます。
参:旧戸籍法27条
内容)日本の国籍を失った者が国籍喪失届を出さないときは、戸籍係は戸籍役所所在地を管轄する区裁判所の許可を得て国籍喪失の登記をすることを要す。
伊藤源太郎 編纂『法令便覽』第1卷 戸籍法令之部,關活版所,1898.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/11579333 (参照 2024-12-10)
昔の方がきっちりしていたのかも。今だと、裁判所の許可とかとっていないんじゃないかな?