蓮舫氏国籍騒動の発端:菅「官房長官」発言のご飯論法

菅首相が退任なさるそうです。自民党の新総裁に就任されたときにお言葉にあった
「自民党総裁に就任した今、おかしな部分があれば、徹底的に見直し・・」
を聞いて、期待していたことがありました。蓮舫氏国籍騒動の見直しです。しかし残念ながら、任期中に見直しはありませんでした。

 蓮舫氏の騒動についての政府の公式見解らしきものを遡ると・・、2016年10月18日の金田勝年法務大臣の閣議後記者会見、というのが大きいのですがさらに一か月余り前、2016年9月7日の菅官房長官記者会見での、日本テレビ柳沢記者とのやりとりあたりが発端となっているようです。

7分35秒から

日本テレビ柳沢記者)民進党の代表選で候補にもなっている蓮舫代表代行が、二重国籍問題を指摘され31年前に台湾籍を放棄する手続きをしたが、実際に放棄されたか確認できていないことを明らかにしました。長官、この問題についてどのようにお考えでしょうか?
菅官房長官)まずあの、蓮舫議員の国籍問題については詳細は承知をしておりませんので、政府としてコメントは控えたいというふうに思います。
 いずれにしろ、議員ご自身で説明すべき問題だという風に思います。
 一般論で申し上げれば、外国の国籍と日本の国籍を有する人は、22歳に達するまでに、どちらかの国籍を選択する必要があり、選択しない場合は、日本の国籍を失うことがある、まあこういうことは承知しております。

まあ、これで、方向性が決まってしまった感があります。こう説明されれば、素直な人は

「台湾の籍と日本国籍を有する人」

「一般論でいう、外国の国籍と日本の国籍を有する人」

に含まれるんだろうなぁ、と「なんとなく」思い込まされてしまうわけです。が、実はそうはいっていない。そこは巧妙に誤魔化されている。後に情報公開請求で得られた国の答申書では、

https://www.soumu.go.jp/main_content/000654465.pdf

(総務省情報公開・個人情報保護審査会 答申書 令和元年(行情)第295号)

ある者が外国の国籍を保有しているかどうかは,当該外国政府が把握していることであり,他国の政府が判断することはできない。この点からすると,日本国籍と外国国籍を併有すると称する者が,日本以外のいかなる国の国籍を保有しているかは,当該外国政府の発行する証明書によって判断することとなる。

としつつ

台湾当局発行の証明書を国籍証明書として届書に添付された場合には,受理することができないことは,国籍法の規定から導かれる当然の帰結

と書かれています。

・台湾の籍があることを、台湾当局発行の書類を添付して説明しようにも日本側は受理しない。

・日本以外のいかなる国の国籍を保有しているかは,当該外国政府の発行する証明書によって判断することとなる。

といっても、その証明書と扱われるものが無いのですから、「外国の籍を持っている」とは、判断しようがない(要件を満たさない)はずです。
 
 「ご飯論法」という言葉が流行するのは2018年からのことだそうですが、重国籍者と扱う要件を満たさない人に関しての話題で、「個別事案には答えない」が「一般論として重国籍者は重国籍者の選択義務を負う」と説明したのは、「ご飯論法」の先駆けだったのではないかと、今にして思います。


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