#3 ものすごくペンギン的な、あまりにも

ペンギンが本を読んでいる
ブックカバーのせいで表紙は見えないけれど
厚めの文庫本だ

あっ
本を置いて、木の下で瞑想し始めた
何の本を読んでいたんだろう

私は草むらから本を取り上げた
ハイデガーだ!
このペンギンは実存主義のペンギンなんだ

おや、今度は街の方へ歩きはじめたぞ
花屋で大きな花束をこしらえている
花屋のペンギンなのかもしれない

するとペンギンはこっちにやって来て
私に大きな花束を手渡した
私は驚いて顔を赤くしてしまった、その刹那

ペンギンは、私からハイデガーをひったくって
また草むらへと戻っていった
ああ、ペンギン的な、あまりにペンギン的な



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