LVMHのサステナビリティ
ラグジュアリーブランドのサステナブル貢献度リサーチメモ、LVMH編。随時更新
2021年に「LIFE360」を設立。
LIFE360とはLVMH Initiatives For the Environment 360の意味で、の4つの行動計画を軸に、高品質な製品は環境の面からも高品質にするための段階目標となっている。2023年、2026年、2030年までに達成すべき目標を掲げた。サプライヤーがカーボンフットプリントや水や生物多様性への影響を削減できるよう支援したり、教育プログラムを展開している。
LIFE360の4つの主軸
「創造性に富んだ循環型経済」
30年までに製品を100%エコ化。リサイクル素材や生物由来の材料の採用や、製品を使用後まで見通してサステナブルな方法を選択して設計する「LVMHサーキュラリティー(LVMH Circularity)」を導入。廃棄物回収・リサイクルの「セードル(CEDRE)」とは2010年から取り組んでいる。サステナブルなテキスタイルの開発も進めている。
【2023年のレポートより】
アップサイクルされた生地の長さ:280,000メートル
ガラスとプラスチックのパッケージにおけるリサイクルされた原材料の割合:43%
持続可能な方法でデザインされた新製品(300製品)の割合:61%
「生物多様性」
水リスクや生物多様性の問題がある地域からは資源を調達しない。例:アマゾン由来のレザーは使わない。NGO団体との連携による再生農業プログラムの取り組みで、2022年末時点で37万ヘクタール分の動植物生息地の復元を達成。2030年までに再生される500万htのうち310万ヘクタールの動植物生息地を保護する。水使用量は2030年までにLVMHグループ全体で30%の削減目標を策定。
<提携NGO>
・ブラジルのNGO、FAS(森林破壊との闘い)との戦略的パートナーシップを発表
・生物圏保護区を支持するユネスコの「人間と生物圏」プログラムとのパートナーシップ更新
「透明性とトレーサビリティー」
生産者を辿り明瞭化するため、ブロックチェーンを使って分野ごとに追跡。ダイアモンド、ウール、皮の原産国が95〜100%把握可能となった。使用しているエキゾチックレザーのうち、99.9%原産国を明らかにしている。服はタグに環境性能を表示するQRコードをつけることを目標としている。「パトゥ(PATOU)」や「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」がすでに実践。メゾンが購入するレザーとテキスタイルの29%は、少なくてもZDHCの基礎レベルに認証されているサプライヤーから調達されている。
<ZDHCとは> Zero Discharge of Hazardous Chemicalsの略。繊維・皮革産業が排出する有害物質をゼロにするための活動をしている非営利団体
<課題>
2026年の目標である化石由来バージン・プラスチック・ゼロについては例外となる可能性が高い。行動計画の強化が必要
「気候」
温室効果ガス排出量の削減率は2019年の11%と比較して、2023年には-28%まで拡大。事業成長とのデカップリングを実現。2023年グループの総エネルギー消費のうち63%を再生可能エネルギーから調達している。温室効果ガス排出量の最も高いスコープ3に関連する排出量は、2019年と比較して29.9%の削減に成功している。(2024年9月)
23年LVMHブランドのサステナブル実績
ルイ・ヴィトン:年間60万個の製品を修理
ベルルッティ:革製品の79%は修理可能
リモワ:スーツケースを生涯保証
ル・ボン・マルシェ:お直しサービス、時計工房、靴工房の提供により製品の寿命を延ばすことに注力
LVMHが提携するサステナブルな機関やスタートアップ
UNESCO『人間と生活圏計画』
FAS
Weturn
高品質な残布リサイクルシステム。残布から取り出し、撚り直した糸を使った生産モデルの変革を通じて資源と生物を保護する。B-Corp認証済み。パリオリンピックのメダルボランティアのユニフォームをデザイン。
Söktaş
再生綿花の試験研究プロジェクトの一環として、トルコのイズミル近郊にある家族経営の企業Söktaşと提携。この事業はLVMHと国連欧州経済委員会(UNECE)の支援を受けています。2024年末までに250ヘクタールに拡大することが現在の目標です。(再生綿花(リサイクルコットン)とは、紡績工場や縫製工場で廃棄予定だった綿の端切れや落ち綿、裁断くずなどを再利用して作られたコットン)
出典