生活介護事業所立ち上げまでの記録#4
生活介護事業所立ち上げまでの記録#3からの続きです。
上の写真は10年ほど前の生徒さんの模型作品です。
おろし金で紙粘土を削ったり靴ひも使ったり、
いろいろな素材を工夫して安く制作する事を楽しんでいた。
当時は子どもたちの年齢層も低かったので、
感触遊びが多かったし、
体験画などもよく描いてもらっていた。
このような地域の人たちが通うアトリエと、
障がいのある人の日々の生活を支える事業所を
一体化したい。
日中はアート制作の生活介護事業、
週に3日夕方からは、
地域の人たちにも開かれたアトリエ。
福祉と地域とを分けない、一日中絵が描ける、
人と人がアートでつながる。
そんな場所を目指しています。
それに向けての準備に奔走中。
以下が11月の記録です。
長い長い、成長記録です。
11月1日
今日は午前中、消防署の予防課へ行き、物件を福祉事業所として使う場合の必要な設備について教えていただいた。
福祉の物件では、建築法と消防法の確認が必須だ。
窓の有無や、窓があっても面積が狭い時は、無窓階として考えることや、フロア毎の使用人数によって、大掛かりな『非常警報設備』が必要だったり、必要ない場合はメガホンなど『避難器具』を設置すればよいなど、全く知らなかった消防関係のことを丁寧にお教えいただいた。
午後は、昨日に引き続き建築物件の管理会社さん、工事の業者さんと現地にて確認。
建築士さんにも相談させていただいている。元々福祉現場で知り合った方なので、なにかと理解と応援をしてくださっていてありがたい。
障がい福祉、建築法、消防法の必要なことを、専門家の皆さんから少しずつ学ばせていただいている。
何も知らなかった半年前の自分とはかなり変わってきたように思う。
赤ちゃんから小学生くらいにはなっただろうか。
11月2日
建築デザイナーさんは事業所を立ち上げた際には以前から看板作りもお願いすることになっていたので、そのことを今日相談した。
相談からすでに楽しい。
11月3日
先月末から、大阪市内で作家としてアートイベントに参加させていただいていた。
その会場で、大学時代の友人の紹介で支援学校の教員をされている方と知り合うことができた。
ご縁は面白い。イベントに参加しなければ出会わなかった。
これからも繋がりは大切にしたい。
それと今日は、東京に住む高校と大学の同級生もイベントに来てくれた。
時が経ちすぎて、会えた喜びから、
お互いに笑いが込み上げる。
短い時間だったが、お互いの近況を話せた。
その友人いわく、私は当時から
「一つのことに夢中になるタイプ」
だったらしい。
忙しい中時間を作って来てくれてありがとう。
11月4日
今日はサービス管理責任者の担当スタッフさんのところに、研修の受講決定通知が届いた。
この研修の受講が完了すれば、担当スタッフさんがサビ管資格を取得できる。
前にも書いたが、サビ管は事業所に必ず必要な資格保持者である。
福祉の専門家と、アーティストと、医師や看護師さん、
みんなでつくる、福祉と地域のアトリエ。
今日も仕事の後に夕方から三回目の、市の創業支援相談を受講。
前回に先生に言われた資料を全て準備してのぞんだ。
補足の事業計画書も自分で作って行ったところ、先生にこちらの熱量が伝わったようで、
「よし!これで融資相談も頑張ろう!」
と激励された。
さらに今自分を取り巻く状況をお伝えすると、
「良い流れが来ている。」とも。
また泣きそうになりながら帰宅。
11月7日
今日は他市へ出張講師。
子どもさん向けのアートクラスを担当。
ピカソの立体物を作ってワイワイ楽しんだ後、
無事に終了。
以前からお世話になっていたセンターの職員さんに事業所のお話しをさせていただいたところ、
その事務所にも事業所のチラシを置いてもらえることになった。
色んなところに出かけて、人とのつながりをつくり、育てていくことは人生の醍醐味かな、と思った今日。
帰りは足をのばして友人たちの展示会へ。
11月9日
今日は予約していた融資先の事前相談。
都会の綺麗なビルに緊張しながら入室。
担当者さんから融資制度の説明や経費計画のアドバイスをいただき、
全力でメモる。
途中、なぜこの事業をやろうと思ったのか、と問われ、
説明の段で胸に込み上げるものがあり、
泣きそうになるが、なんとか耐えた。
次回はアドバイス通りにもう少し計画表をスッキリさせて、再度相談に行く予定。
11月12日
先月から身体の異変を感じていた。
心拍数が上がり、戻りにくい。
気持ちは前を向いていて、アイデアも浮かぶけれど、
少し休息が必要なようだ。
晩はぬるま湯に浸かり、ゆっくり過ごしてみた。
そういえば今月の誕生日で47歳になる。
おばちゃんにはなったけど、
私は自分の人生の中で、今の自分が一番好きだ。
いろいろなことを諦めた子育て中の20代を思い出す。
アレルギーがひどく生活もままならなかった息子と、
病院を梯子して必死で闘ったあの頃。
1人のママ友が、毎日毎日、昨日息子のことで寝られなかった私の話を聴いてくれた。
だから頑張れた。
あの時があったから、今の自分がある。
以来、辛さを抱えた人の気持ちが少しはわかるようになった。
今度は私が誰かを助ける番だと思う。
11月15日
今日少し実家に寄った時に、
母から「会社の準備大変やろう?わかるわ。」
と言われた。
うちは昔、外装関係の自営業を営んでいた。
会社をたたんでからかなり経つので、細かいことをすっかり忘れていたが、母の言葉でいろいろとよみがえってきた。
私が小学生の頃は、従業員さんは6、7人だったと思う。
近所に会社があったので、夕方、犬の散歩ついでに遊びに行ったりして、
にぎやかな毎日だった。
その頃、父と母はいつも忙しそうだったけど、
なんか楽しそうだった様子が記憶に残っている。
好きな仕事ができる喜びについて、再度考える。
その後、事情で会社はたたむことになったが、
今自分が事業に抵抗がないのは、
そういう子どもの頃の体験からだろうか。
11月16日
今日は支援学校へ行き、事業所のご説明とチラシを置かせていただいた。
必要な人に知ってもらいたい。
まだ限られた情報しか載せれていないが、今からどんどん周りの人に周知してもらうため、いろいろな場で配布お願いしている。
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グラフィックデザイナーの前田敏幸さん作のチラシ
11月17日
今日は、昨日とは別の支援学校へ。
進路担当の先生と名刺交換のあと、事業所のことをお話しし、チラシもお渡しした。
11月19日
今日は朝から物件のことで電話相談。
昼からは、アトリエで子どもさんたちや講師の方々とわいわいやった後、
また行政書士さんと建築のことで電話。
何度も何度も相談に乗っていただき頭が下がります。
11月21日
今日は支援学校の先生が日曜日に開催されている創作教室を見学させていただいた。
先生を紹介してくれた大学時代の友人も一緒に来てくれた。
ベテランの先生方の作業の説明と進め方がとても勉強になった。
長く続けておられることは本当に凄いことだと思う。
毎回この教室を楽しみに一週間を過ごす方もおられるだろう。機会があれば是非また見学に行きたい。
事業所のチラシもお持ちしたら先生方に興味深くご覧いただけて嬉しい。
また、他にも福祉に携わる方々もご紹介いただいた。
先生方をはじめ関係者の皆さま、ありがとうございました。
11月22日
今日は事業所でお世話になる予定の税理士さんにお会いした。
元々知り合いではあったが、個人事業主の時は自分で申告書を作っていたので、税理士さんに仕事をお願いするのは今回が初めてだった。
事業計画等を見て、こちらの志も理解してくださり、
安心していただけたようだ。
最後は、事業所を利用する人がいっぱいになって、
忙しくて手が回らない〜!となることを目標にしよう、
という話にまでなっていた。
11月23日
今日は祝日だが、人員配置について表を作成しながら方々と連絡を取り合う。結構時間のかかる作業だがとても大切だ。
その後、今日は朝から角煮ときんぴら作ったので
夕方義母のところに持っていく。
母に事業所のチラシを見てもらったら、
「人生の大仕事やね。」
と言ってもらった。
今のアトリエ事業も、作家業も、
いつも興味を持って話しを聞いて応援してくれるお母さん。
ありがとうございます。
11月27日
仕事の前に、大阪府の障がい福祉課のサイトに載っている、指定申請の必要書類の一覧表を確認した。
私たちが立ち上げようとしている生活介護事業所は、39種類の書類を提出する必要がある。
添付の分も含めると40種類を超える。多い。
エクセルの様式になっているものが多かったので、
一つ一つ内容を確認してみた。
その中の、サビ管の実務経験証明や経歴などの分は担当スタッフさんにお願いし、他はなんとか淡々と頑張れば、自分でも作成できそうな気がした。
これが半年前だったら、そうは思わなかっただろう。
「どこかに安く請け負ってもらえる専門家はいないかな?」
と考えていたかもしれない。
今回は到達したい度が強いため、
この2ヶ月間も無我夢中だった。
物事は分解したらなんとかなることも、
だんだんわかってきた。
夜はクタクタに疲れ、ご飯の後は椅子に座ったまま寝ていたりするけど、
人生の中でそんな時があってもいいように思う。
11月28日
明日はまた融資の事前相談なので、
この二週間で準備していた資料を朝から確認した。
事業計画書にわかりにくい表現はないか、
数字は合っているか、
他に付け足す資料はないか等を探し補足、
できたものをプリントしファイルに挟んだ。
こういう資料作りをすると、自分の歩んできた軌跡が再確認でき頭が整理できるし、
自分を俯瞰で見ることもできるのだとわかった。
思った以上のスッキリ感をもらえた。
明日もプレゼンテーション頑張ろう。
11月29日
今日は午前中、二度目の事前相談で市内へ。
お見せしたい資料を担当の方に見ていただき、
本番に漏れがないかをご確認いただいた。
自分の思いや、大きなアピールポイントとなるスタッフさんたちの特別なスキルについてもお伝えできた。
新しい事業所では、福祉と医療専門家に加え、
美術作家、クラフト作家、デザイナー、
陶芸家の皆さんがスタッフになってもらえる。
伝えれることは全て全力で伝えた。
お昼はカフェ展示の搬出に行き、
スタッフさんとお昼ご飯を食べて、
夜は電車でまた法人理事スタッフさんで集まり、
事業準備の進捗報告と相談をした。
充実した一日が終わり、この日記も書き終えた。
11月30日
今日はパートタイマーで来てもらうデザイナーさんと勤務体制の打ち合わせだった。
他にも事業所でやりたいことのアイデアを出し合った。
クリエイティブの人たちとつくる未来が本当に楽しみだ。
そのあと今朝お電話させていただいた支援学校へチラシをお持ちした。
教頭先生がご対応下さり、保護者の来られるスペースに、
チラシを置いていただけることになった。
少しでも必要な人の元に届きますように。
学校からの帰りに、ふと思い立ち、
二年ぶりに長男のママ友の家に寄ってみた。
事業のことを話すと、お手伝いできることがあればしたいと言ってくれた。
子育てがひと段落して、何か人の役に立ちたいと思っている人は
多いのかもしれないと思った。
夕方は税務署の法人設立届出等の控えが税理士事務所から届いた。
一歩一歩進んでいる。
明日は法人の通帳をつくる予定。
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