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WKB53(AT限定)vol.8

逃げないし恥もない

<前回のことをあとから考えれば考えるほど恥ずかしさで悶死しそうになり、やっぱりもうこれは無理なんだと思った。
なのでひっそりと教習所をやめちゃいました。
おしまい。>

普通が何かは厳密にはわからないが、↑これは普通の感覚といえるだろう。

私ですか。
翌日も元気に教習へ。
「おはようございまーす」。
なんかスッキリした顔でね。
恥ずかしい思いしたからこそ逃げずにがんばる。とか、気丈にやらなくちゃ、とかの感慨もなく。
かと言って「てへ」みたいのも皆無。一切が無。
今日も予約とれた、さっ行くか!と。
本当にそれだけ。

半世紀生きてきた間、自分の性質とかキャラとかについての考察などしてこなかったから今まで気づかなかったけど。
もしかしたらメンタルのベクトルがちょっと人とは違うのかも?と、思ったりした。
強弱↑↓ではなく↖︎↘︎↩︎↪︎みたいな。
異次元かつ未知の経験(車の運転)が今まで隠れていた扉を開けたということなのか。
それが宝の隠し部屋なのか、封印された特級呪物の部屋なのかはわからないけど。
自分ふしぎ発見。

でも、だからといって技能のヘボさに変化があるわけでもなく。
いよいよ今日は12時限目で「みきわめ」であるにもかかわらず、だ。

それでも脱輪とか事故とか起こさずに走り終わって(奇跡)、今日の担当G先生は悩んでいた。
こいつにはんこをやるかどうか。
「全然いいんだよ、これではんこは押せちゃうの。でもねーそれで検定受かったらもう路上に出なきゃならないからね…」
「いや、落としてください」
食い気味で自分でもビクッとするぐらいの大きめの声が出た。
「まぐれで仮免取れたら怖すぎるので。まだ練習したいです」

で、初めての延長。
ここへきて1時間オーバーが発生してしまったよ。
もちろん出費は痛いがそれ以上に、今の私には、これでまかり間違って路上に出てしまった場合の恐ろしさのほうが脅威である。
公道では怖くても自分の都合だけで止まることはできない。人やものを傷つけてしまったら…
考えただけで寒気がする。

その後も順調(?)かつナチュラルに、2回目も3回目も落ちた。
延長に次ぐ延長。みきわめにタイブレークは無い。
毎回別の先生が見てもそうなんだから、本当にダメってことだよねー
と、なんかダメなこと自体にちょっと謎の落ち着きが生じ始めていた。
その上にどっかりと寝そべって、お菓子をぱりぽりやってる感じ。

しかしこのままずっと仮免前でいるわけにもいかないなあ、落ちるたびお金もかかる。
できれば早く終わらせたいっていうのはある、もちろん。
教習期限という厳密なタイムリミットがあるし。

けど、上達しなさの他に、この頃はそもそも教習の予約自体が取れないという、新たなハードルがじわじわと立ちはだかり始めていた。

そう、私がちっとも上達しない間に。
季節は教習所が1年で一番混む時期に移ろっていたのである。
もちろん、入所するときにそのことは承知しているし、受付のお姉さんにちゃんと説明も受けた。時間が許せば朝から待つという方法があるというのも知っている。
ただ、頑なに1日1時間だけ、キャンセル待ちはせず予約でしか乗らないのは自分のやり方だから、そうなっているというだけで。

そしてここからほぼ丸2か月、ぱったりと教習所には行かないことになる。
まったく上達しないままでそれだけのブランクというのは何を意味するのか。
推して知るべし、である。

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