1番じゃなくても大丈夫! 人と比べることより、人を喜ばせることが大事
今回は、ゆるかわイラストで愛されているイラストレーターのたっつんさんにオンラインでお話を伺いました。
今回、参加した子ども達
イラストレーターさんのお話を聞いてみたい人~?と声をかけて集まってくれたのは、7人の子ども達!
今回が初参加の子から、今回で4回目の子も!
みんなのワクワクした表情が印象的なスタートとなりました。
イラストレーターってどんな仕事?
まずは前回と同じように、「イラストレーターってどんな仕事かな?」という話題で子ども達と雑談♪
「絵をかく人」
「美術館に展示する絵をかく人」
「絵本の絵とか、教科書の絵とかかいてる人」
「アニメ(ドラえもんとか)の絵とか、CMとかの絵をかいてる人」
と、子ども達からいろいろな声があがりました。
そこで、「イラストレーターさんって何を使って絵を描くのかな?」と聞いてみると、
「パソコン!」
「紙とえんぴつとか、色えんぴつとか!」
「絵の具やクーピーもあるかも」
「クレヨン?ペン?」
またまた子ども達からはたくさんの声があがりました。
「イラストを描く道具ってたくさんあるね!今からイラストレーターさんにお話してもらうので、実際に何を使っているのかも聞けるといいね!」
と子ども達のワクワクが高まってきたところで、イラストレーターのたっつんさんにご登場いただきました。
たっつんさんってどんな人?
大阪在住。1988年4月14日生まれのたっつんさん。
たっつんさん:仕事はおうちでしています。Webサイトで使われているイラストだったり、本の表紙や挿絵のイラストを描いています。
書籍のイラストだと、イラストレーターさんとデザイナーさんの2人で話し合って描いています。図解のイラストをイラストレーターさんが描いて、デザイナーさんが文字のフォント(大きさや形)やデザインを決めていきます。
今回は本の表紙に動物や神様のイラストと図解を描きました。
この本の仕事が決まった流れは、図解をネット上で描いていたとき、1つの投稿がSNSで面白いと何千人もの人に言われていたところ、著者の方から表紙のイラスト描いてもらえませんかと依頼が来ました。
図解ってわかるかな?
図解っていうのは、文章で書くと分かりにくい話を絵で見てぱっとわかるように描くことだよ。
たっつんさんがお仕事をしていて嬉しかったことはどんなことですか?
たっつんさん:イラストのお仕事始めるまでは自信が持てなくて「自分なんて…」とネガティブ思考でしたが、今のお仕事と出会ってイラストを描いていると、お相手に喜んでもらえたり、絵を描くことでその方のプラスになることができると感謝されるので、「人の役に立てた…!」と実感する瞬間が嬉しいです。
小さい頃からイラストレーターになろうと思っていたんですか?
たっつんさん:実はぜんぜん思ってなかったんです。
もともと絵を描くのは好きだったけど、絵が上手な方はたくさんいるので挫折したことがあって。
専門学校のイラスト学科に行こうと思って体験入学にいったんですが、めちゃくちゃ上手な人に出会ってしまって「今の画力じゃイラストレーターになれないんだ」と思って逃げる形でデザイン学科に行きました。
その後デザインの会社に勤めながら、副業とか趣味でブログの中でイラストを描いていたら、ブログを見てくれた友達が「たっつんの絵はかわいいからお仕事にしたら?」と言ってくれて、それがきっかけで一枚500円くらいから描き始めました。
絵を描くことはずっと好きだったんですか?
たっつんさん:お仕事になる前から絵をツイッターなどに上げていたので、やっぱり絵を描くのが好きだったのだと思います
イラストレーターとしてお仕事をしていて大変だと感じることはどんなことですか?
たっつんさん:漫画家さんは背景や細かいところはアシスタントさんにお願いして、キャラの顔など大事な部分は漫画家さんが描くとか分業することもできるんですが、イラストレーターは基本全部1人で完成させている方が多いです。
1ヶ月に40枚描いてくださいという依頼があったときは作業量としてとても大変だった。1日1〜2枚描くというのが大変で、最後に1日10枚描いたりすることもありました。
以前は「こんな感じで描いてもらえますか?」というすり合わせから入っていたので、それも大変でした。
イメージが違うと言われたこともありますか?
たっつんさん:あります。企業の方はポートフォリオ(作品を載せるページ)を見てから依頼してくださるのであまりギャップはないのですが、イメージが違っているとすり合わせからやり直す感じになるので大変です。
今までに失敗したことはありますか?
たっつんさん:いろんなプレッシャーで絵が描けない時期がありました。
イラストレーターというと「夢を叶えたね!」という印象があるけれど、実際はすごく地道な作業なので、夢と現実(ビジネス)のバランスを取るのが難しくてペースを崩してしまいました。
「仕事にしよう!有名になろう!」みたいな意欲でやりすぎていて、今まで関わっていた人を遠ざけてしまって...
仕事ができなくなったときに家族や友人が支えてくれたので、自分の夢を追いかけるのと同時に周りの人を大事にしたいと思いました。
その時もプレッシャーはめちゃくちゃありました。
書籍の表紙イラストで使われるとなると、売り上げにも多少関わってくるので「もし、売り上げが伸び悩んだら…自分のイラストのせいだったらどうしよう…」と悪い想像をしてしまうこともありました。
好きなことをやりたいというのと、社会貢献や人の役に立つというバランスが難しいです。
自己満足のままだと趣味になってしまう。
自分の好きなことばかりでは相手に喜んでもらえない。
自分がやっていて好きだなって思うことは誰にでもあると思うんです。それを伸ばして欲しいって思うけど、誰かを笑顔にできるか、ありがとうって言ってもらえるかの視点も必要だなって思います。
イラストレーターになりたいという子にはどんなアドバイスをしますか?
たっつんさん:イラスト自体の画力も大事だけど、どんな絵を描いたらお仕事として成り立つのかを調べて実践することも大事です。
イラストを載せているポートフォリオ(作品集)を作ったり、金額をはっきり載せたりして、お仕事を受けるための窓口を作っておくことが大切です。
私はSNSに作品を載せていたことが仕事に繋がりました。SNSに載せることで、たくさんの人に見てもらえるきっかけにもなって、私のイラストを必要としてくれている人に出会うことができました。
絵がクラスで1番にうまいという必要も、周りの人と比べる必要もなくて、人それぞれの絵があるので、他の人と比較しないのがすごくすごく大事だと感じています。
とても素敵なメッセージをいただけたところで、子ども達からの質問タイム!
まなちゃん:描くためにどんなことを想像しますか?
たっつんさん:例えば依頼してくださっている方がいる場合は、だいたい「こういう絵の内容でお願いします」という指示を細かくもらえるので、自分の頭で組み合わせつつ「どういう構図だったかな?どういう形だったかな?」と思うときは資料を見る。動物の写真や人の写真などを見直す。
指示がなく自分の想像内で描いていくときは、思うままに描いている。
イラストを描いている瞬間より、日常の他のことをしているときの方がイマジネーションが出てくることが多い。
常日頃空想や妄想をしているかなと思う。
まなちゃん:イラストを描き始める場所はどこですか?私は顔の輪郭から描きます。
たっつんさん:私も顔と耳と髪の毛を描いてから、体を描いて、最後に顔の中のパーツを描く。顔から先に描く場合もあるけれど、たくさんの木や背景も描く場合は、全体的にバランスをとるので(だいたいこういう大きさだよねという)アタリをとって描くときもある。
りぃ子ちゃん:もし言われた通りに描いたけど、相手が納得しないことってありますか?
たっつんさん:めちゃくちゃあります。笑
例えば「星っぽく描いてください」と言われていたのに「やっぱり丸っぽい方がいいですね」と話が変わる時があるので、その都度「こういう感じで大丈夫ですか?」と何度も聞いて確認しながら進めています。
こだわりが強い方や細かい指示が多い方だと何度も修正が入ることもあります。
人によってお仕事の仕方がそれぞれ違うので、それぞれ修正するごとにお金をもらう場合もあるし、修正ごとにはお金をもらわない場合もあります。
りあむくん:たっつんさんはアニメの絵やゲームキャラの絵を描くこともありますか?
たっつんさん:私は描いていません。描いている方もいますが、著作権があるので自分の趣味としての絵ならSNSに載せても大丈夫だけど、アニメキャラを描いてお金をもらうには、その会社と契約(その絵を描きますという約束)をしてお仕事する必要があるんだ。
そあらちゃん:イラストを描くのにどれくらいの時間がかかりますか?
たっつんさん:内容によってまちまちですが、1時間かからなかったりするときもあれば、指示が曖昧だったりイメージが沸かない場合は1日以上かかるときもある。依頼内容によってかかる時間も違ってきます。
まなちゃん:イラストを描くときに参考にしているキャラクターってありますか?
たっつんさん:私の絵は2頭身のちっちゃいキャラが多いので、具体的に参考にしているものは、イラストが載っている写真集やカナヘイさんのイラストを見て「かわいいなー!」と思いながら、色の使い方や線の使い方を参考にしている。
まなちゃん:動物が好きなんですがどうやったらうまくかけますか?
たっつんさん:実際に動物を見に行ったりして、実物を「サイってこんな形のつのしてるんだな。耳がここについているんだな」というふうに見るのが大事。
写真とか実物をしっかり観察するのが大事だと思います。
りぃ子ちゃん:モデルさんはつかっていますか?
たっつんさん:私はデッサン人形は使っていませんが、使って絵を描いている人はたくさんいます。資料を探しても自分の描きたいポーズが見つからない場合は、デッサン人形を買ってポーズを取らせて、体の形を観察しながら描くのがいいと思います。
りぃ子ちゃん:猫を描くときに物足りないときは何かを付け足しますか?
たっつんさん:イラストを一回描いたけど「自分でも可愛く描けなかったな」というときは、一回寝かせます。
1日置いて、もう一度見たら「あ、これは変だったな」という修正ポイントを見つけたりするので、時間をおくと見方が変わって気づくことも多いなって思います。
まなちゃん:イラストを描くときに練習で自分の顔を描いたことはありますか?
たっつんさん:あります!小学生とか中学生の頃は、友達の似顔絵を描いていたし、自分の顔をたくさん(美人に)描いていました。
似顔絵をいつか頼まれる機会があれば、忠実に描くよりかわいく描くと喜ばれるよ!
絵を描くときに何を使って描いていますか?
たっつんさん:専門学校に行っていた時は、絵の具や色円筆を使っていましたが、今はデジタル(iPadとアップルペン)とお絵描きアプリで描いています。
ラフの時点は紙に描いてスキャンしてパソコンに取り込んで・・・としていましたが、今はデジタルのまま確認として送れるので、完全にデジタルです。
練習するときはデジタルとアナログどっちがいいですか?
たっつんさん:私の場合はアナログを経てデジタルでしたが、今の子はデジタルが当たり前の世代なので、自分がアナログの描き心地が好きだったらそれでいいけれど、最終的にお仕事になるとデジタルでのやりとりが多い思うので、デジタルで慣れていてもいいと思う。
でも、人によってアナログがいいとかデジタルがいいとか、言うことはまちまちだと思う。
<司会からの子ども達への質問>
前回ゲームクリエイターさんのお話を聞いたよね?今回イラストレーターさんのお話を聞いてみて、似てるとこと違うところがあったと思うけど、どんなことを感じた?
りあむくん:ゲームクリエイターさんはAI使っているけど、たっつんさんは鉛筆で描いている。手書きと機械の違いがあった!
まなちゃん:2人ともキャラクターを描いているけど、絵のうまさだけが大事じゃないって言ってた。
司会:上手なだけじゃなくて何が大事って言っていた?
まなちゃん:人と比べない。人を喜ばせることが大事って言ってた!
それぞれ人はおんなじじゃないから、比べる必要はない。自分が持っている才能は人それぞれだから、比べなくていいってわかった!
前回ゲームクリエイターとしてお話してくださったイトーナミさんもご参加くださっていたので、ナミさんにも感想をお聞きしました♪
ナミさん:私もイラストが好きだけど周りに上手い人がいっぱいいて、私なんかが描いても・・・という時期があったので、共感することがたくさんあった。でも自分の好きなことを全面に出していくことが大事だなと思いました。
たっつんさん:クリエイターは周りの人と比べて落ち込みやすい気がします。
りえさん:得意なことがあるって羨ましいと思っていたけど、仕事をしている人でも他の人と比べて自信をなくしながら、それでも自分の好きなことを続けることが大事なんだなって感動しました。
最後に子ども達から感想を聞きました。
まなちゃん:学校で絵を描いているけど、なかなか上手にできないから、くやしいなとずっと思っていたけど、やっぱりイラストレーターさんも顔から描いているから、顔の形を考えて描こうと思いました。私もかわいい絵を描いて見たいと思いました。
たっつん:悔しい気持ちって絵を上達させるための強いエネルギーになるので、その気持ちを糧にしつつ、楽しみながらたくさん絵を描いていってくださいね。
りあむくん:イラストレーターさんってとてもすごい仕事なんだなと思いました。質問に答えてくれてありがとうございました。
そあらちゃん:よく本を読むから、勉強になると思いました。質問に答えてくれてありがとうございました。
りぃ子ちゃん:私はあまり絵を描いてなくて、クラスでめちゃくちゃ上手な子がいて私は下手な方だなって思っていたけど、イラストレーターさんの話を聞いて下手でもダメじゃないと思って、すこし自信が持てた。
たっつんさん:みんなからエネルギーをもらったり自分でも色々気づける貴重な時間になりました。ありがとうございました。
まとめ
今回もとても気づきの多い時間でした。
話を聞いた子どもの口から「人と比べる必要はない。自分が持っている才能は人それぞれだから、比べなくていいってわかった!」という言葉が出てきたことに感動しました。
今、活躍している人も失敗したり悩んだりして、そこから学んで成長している様子を聞いている時の子ども達の真剣な表情が印象的でした。
2021年のお仕事インタビューは今回が最終回。
2022年も子ども達と一緒に、気づき・学びの時間を過ごせる機会を増やしていきます。
よろしくお願いします!!
~リトチャレ運営一同~