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東京バレエ団×勅使川原三郎 新作「雲のなごり」/バランシン「セレナーデ」/ベジャール「春の祭典」

東京バレエ団創立55周年記念委嘱作品の世界初演「雲のなごり」勅使川原三郎 振付、「セレナーデ」ジョージ・バランシン振付、「春の祭典」モーリス・ベジャール振付の3作品による東京公演。

「セレナーデ」35分、休憩25分、「雲のなごり」30分、休憩15分、「春の祭典」35分という構成で、計2時間20分のプログラム。

上演前には、30分のプレトークが行われた。舞踊評論家の岡見さえ氏のトークでは、勅使川原三郎氏のレッスンは1時間ジャンプし続けることから始まり、そうしてバレエやダンスで体に染み付いているものを忘却するところから振付がスタートすることや、年齢を重ねてもダンサーでい続けられる、しかも面白いダンサーでいられることを、勅使河原氏が体現していることなどが話された。

「セレナーデ」

日本でもおなじみのチャイコフスキーの曲に、ダンスが幾何学的ともいわれるジョージ・バランシンが振り付けた、美しい作品。

女性ダンサーたちはチュチュとトゥシューズを身に着け、振付はクラシックバレエの動きが主だが、手の動かし方にやや特徴があるか。

明確なストーリーはなくても、男女の恋愛っぽいことをほのめかすところもある。

これまでに何度か見ている作品だが、夢の世界のように美しい。

「雲のなごり」

勅使河原三郎氏が、武満徹氏の音楽に新たに振り付けた作品。東京バレエ団のダンサーに加えて、勅使河原氏の踊りのパートナーでミューズとも呼ばれる佐東利穂子氏も出演。

武満氏の音楽は眠気を誘う。

木のような風のようなたたずまいのダンサーたち。勅使河原氏の振付を踊るにはやはり佐東氏は別格だ。動きに粘りがあるというか。他のバレエダンサーたちは、すっきりし過ぎている気がする。

「春の祭典」

ストラヴィンスキーの否が応でも胸が高鳴る音楽に振り付けられた、モーリス・ベジャールのよく知られた傑作。

以前に1、2回、東京バレエ団の公演で見たことがある作品だが、やはり興奮を覚える。

集団と個の使い方がうまい。最初の男性の群舞で、動物のような姿勢を取るのを見ると、禁断の、見てはいけないものを見てしまったような気分になる。

四股を踏むような姿勢で両手を広げる動きや、そのまま上下に揺れる動きは、ベジャールのもう一つの傑作「ボレロ」にもみられたように思う。

セクシュアル(性的)な要素も濃く、「イケナイ」感じも漂う。全体的に、あまり本気で踊り過ぎると狂ってしまうのではないかという雰囲気がある。

公演情報

東京バレエ団創立55周年記念委嘱作品
東京バレエ団×勅使川原三郎 新作 世界初演
「雲のなごり」
演出・振付・照明・美術:勅使川原三郎
音楽:武満徹「地平線のドーリア」「ノスタルジア─アンドレイ・タルコフスキーの追憶に─」
演出助手:佐東利穂子
照明技術:清水裕樹(ハロ)
衣裳製作:武田園子(ヴェロニク)
装置協力:金井勇一郎(金井大道具)

「セレナーデ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

「春の祭典」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

指揮:ベンジャミン・ポープ
演奏:東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団

2019年
10月26日(土)14:00
10月27日(日)14:00

東京文化会館

各日、開演前にプレトークあり
10/26 「武満徹の音楽について」小沼純一 13:30~13:50
10/27 「勅使川原三郎の世界」岡見さえ 13:30~13:50

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